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BtoBマーケティングにおけるターゲット別の施策の選び方

2024.08.20更新

BtoBマーケティングの成功は、的確なターゲティングと効果的な施策選定にかかっています。しかし、多くの企業が施策選びを軽視し、期待した成果を得られていません。   本記事では、BtoBマーケティングにおける施策 […]

BtoBマーケティングの成功は、的確なターゲティングと効果的な施策選定にかかっています。しかし、多くの企業が施策選びを軽視し、期待した成果を得られていません。

 

本記事では、BtoBマーケティングにおける施策選定の重要性を解説し、ターゲットとファネルという2つの重要な観点から、効果的な施策の選び方を詳しく解説します。さらに、ユーザー分類別の最適な施策とKPI設定、そして効果的なメディアプランニングの5ステップを紹介します。

 

マーケティング施策によくあるミス

マーケティング施策におけるよくあるミスは、問題に対する診断(分析)と処方(解決策)のずれです。マーケティングの問題に対して、「なぜそれが起きているのか?」の診断が間違っていると、どんなに優れた解決策(処方)を実施しても効果は期待できません。

図のように、診断と処方が一致している場合(診断○処方○)は問題解決につながりますが、診断が誤っている場合(診断×処方○)や処方が誤っている場合(診断○処方×)では問題は解決しません。適切な分析とそれに基づいた解決策を選定することが重要です。

施策選定の重要性

 

マーケティング施策を選定する前に、その施策を実行する目的を明確にすることが重要です。施策を実行する理由を整理し、何のためにその施策を行うのかを明確にすることで無駄な施策を避け、効果的な施策に集中できます。例えば、ブランド認知度を向上させたいのか、特定の商品やサービスの販売を促進したいのかなど、目的によって選ぶ施策が異なります。目的が明確であるほど、施策の選定も的確になります。

施策とコンテンツ選定における2つのものさし

マーケティング施策の

選定には、「ターゲット」と「ファネル」という2つの観点が重要です。ターゲットの観点では、ターゲットが見ている情報媒体やニーズを考慮します。

一方、ファネルの観点では、潜在層から顕在層までのどの段階にアプローチするのかを考えます。認知度向上を目的とする場合や、購買意欲を喚起する場合など、ファネルの段階に応じた施策を選定することが求められます。これらの観点を組み合わせることで、効果的なマーケティング施策を実行することが可能です。

ターゲットの整理

 

ターゲットの整理において、自社のサービス特性に合わせたセグメントで“ターゲット”の認識を合わせることが重要です。例えば、従業員数、企業規模、地域、業種、顧客・部門などのカテゴリーを用いてターゲットを細分化します。

ペルソナ設定

 

ターゲット企業のイメージができたら、さらに担当者・決裁者のペルソナを設定します。ペルソナとは、「ターゲット」という範囲の中における、より具体的な顧客の代表例です。

ペルソナ設定は、マーケティング施策の精度を高めるために非常に重要です。ターゲットの一般像から、より具体的な個人像に落とし込むことで、施策の効果を最大化できます。

例えば、ペルソナとして「佐藤さん・男性・31歳・システムエンジニア・主夫」というように詳細な情報を設定します。

このペルソナを設定することで、彼のライフスタイルや仕事のスタイル、課題やニーズをより具体的に理解し、それに基づいた施策を展開することが可能です。複数のペルソナが存在する場合には、それぞれに対して施策を考えることが求められます。

また、詳細なペルソナ設定により、ターゲットに対する具体的な施策(タッチポイント)の選定が行いやすくなります。ペルソナが利用するメディアやアプリに合わせて広告や情報を提供することで、効果的なマーケティングが実現できます。

カスタマージャーニーの設計

 

カスタマージャーニーの設計では、設定したペルソナごとに思考、行動、タッチポイント、キーワードを詳細に分析します。

認知・検索段階

  • 思考: 社内ポータルシステムの課題解決を考える
  • 行動: 情報収集のためにウェビナーやイベントに参加
  • タッチポイント: IT系のブログやセミナー
  • キーワード:社内ポータルツール、カスタマイズ

比較・検討段階

  • 思考:いくつかの候補を比較しながら、最適なソリューションを模索
  • 行動:各ベンダーのサービスを比較し、デモを試す
  • タッチポイント:比較サイトやGoogle検索
  • キーワード:内ポータル 比較、導入事例

意思決定段階

  • 思考:具体的な導入計画を立て、最終決定を下すための材料を収集
  • 行動:追加の情報収集と内部承認プロセスを経る
  • タッチポイント:顧客レビューや導入事例の詳細
  • キーワード: 社内ポータル 導入事例、成功事例

マーケティングファネルとは?

 

マーケティングファネルは、消費者の購買に至る心理プロセスを表したものです。基本的なファネルの段階は、認知→興味・関心→比較・検討→購入です。

マーケティングファネルの各段階に応じた施策を実行することで、消費者の心理プロセスを効果的に進行させることができます。例えば、認知段階では広範なリーチが求められ、興味・関心段階では具体的な情報提供が重要です。比較・検討段階では詳細な製品情報や他社との違いを強調し、購買段階では購入の決断を後押しする施策が効果的です。

ファネル別の施策分布

 

ファネル別の施策分布は、マーケティングプロセスの各段階において適切な施策を選定するための指針となります。この図では、認知から購入後のカスタマーサクセスまでの各段階における施策を示しています。

ユーザー分類別の施策分布(BtoB)

 

BtoBマーケティングでは、ユーザーの状態に応じた施策を選定することが重要です。ユーザーを以下のように分類し、それぞれに最適なチャネルとKPIを設定します。

  1. 明確層(特定のサービスを使いたい)

この層は、特定のサービスや製品を強く希望しているユーザーです。既存資料、紹介企業、販売代理店、指名検索などを活用し、成約数や商談数をKPIとして設定します。

  1. 顕在層(悩みを解決したい)

この層は、特定の悩みを持ち、それを解決したいと考えています。リスティング広告、BuyワードSEO、導入事例、LPO(ランディングページ最適化)などを活用し、リード数、CPA、指名検索流入数、LPO CVR(コンバージョン率)をKPIとします。

  1. 順顕在層(悩みはあるが、解決策は不明)

この層は、具体的な解決策を知らないが、悩みを抱えているユーザーです。KnowHow・SEO、ウェビナー、記事広告、WP(ホワイトペーパー)、Facebook広告、DMなどを活用し、リード数、CPA、ブログのPV(ページビュー)、CVRをKPIとします。

  1. 潜在層(これから悩みを持つ可能性がある)

この層は、現在は悩みを持っていないが、将来的に悩みを持つ可能性があるユーザーです。PR、展示会、カンファレンス、SNS、デモ広告、動画広告、テレビCM、交通広告などを活用し、リード数、インプレッション数をKPIとします。

施策選定(メディアプランニング)の5ステップ

 

効果的なメディアプランニングを実行するためには、以下の5つのステップが重要です。

  1. 目的と検証したい仮説を決める
  2. ターゲットが誰かを明確にする
  3. 施策とコンテンツ要求を洗い出す
  4. 施策の優先順位を決める
  5. 実行期間・タイムラインを決める

これらのステップを順に実行することで、効果的かつ効率的なマーケティング施策を実現できます。

1. 目的と検証したい仮説を決める

メディアプランニングの第一歩は、目的を明確にし、検証したい仮説を設定することです。具体的な目的としては、認知獲得、リード獲得、エンゲージメント向上などがあります。

例えば、新製品の認知度を高めたい場合、その目的に合わせた仮説を設定します。仮説は顧客ニーズに基づくもので、価格、機能性、信頼性などを検証します。これにより、施策の方向性が明確になります。

2. ターゲットが誰か

次に、ターゲットを明確にします。ターゲットは、商品やサービスを利用している典型的なユーザー像である「ペルソナ」と、その行動・思考・感情を時系列で可視化した「カスタマージャーニー」に基づいて設定します。これにより、ターゲットの具体的なニーズや行動パターンを把握し、効果的な施策を設計することが可能となります。

ターゲット企業・部門における担当者および決裁者ペルソナの設定

ターゲット企業・部門における担当者および決裁者のペルソナを設定することは、施策の精度を高めるために重要です。以下は、ペルソナ設定の具体例です。

個人情報

  • 佐藤さん・男性・31歳
  • 役職: システムエンジニア・主夫

会社情報

  • 業種: 建設コンサル
  • 従業員数: 300人
  • 勤務地: 東京

業務情報

  • おもな業務: DX、AI、業務改善

関心事・課題

  • 生産性向上
  • 家族との時間確保

情報取得媒体

  • よく見るメディア: Tmedia、IPA、ASCII
  • よく使うアプリ: Outlook、Excel

このように詳細なペルソナ設定を行うことで、ターゲットに対する具体的な施策を展開できます。

施策とコンテンツ要求の洗い出し

施策とコンテンツの要求を洗い出すステップでは、ファネルの各段階に応じた目的とコンテンツを設定します。

認知・検索段階

  • 目的: サービス認知・課題喚起
  • コンテンツ例: 情報提供系のお役立ちコンテンツ(記事、資料、ウェビナー)、業界トレンド情報

比較・検討段階

  • 目的: 他社との比較、社内への上申
  • コンテンツ例: 事例コンテンツ(導入事例の説明、動画)、競合比較資料、サービス紹介資料

意思決定段階

  • 目的: 稟議獲得
  • コンテンツ例: 料金表、料金シミュレーション

 

まとめ

BtoBマーケティングにおける効果的な施策選定には、適切な分析と解決策が不可欠です。施策選定の基本は、ターゲットとファネルの2つの観点から考えることです。ターゲットの整理では、企業特性に合わせたセグメンテーションとペルソナ設定を細かく行いましょう。

効果的なメディアプランニングには、目的と仮説の設定、ターゲットの明確化、施策とコンテンツの洗い出し、優先順位付け、タイムライン設定の5ステップが重要です。ユーザー分類別(明確層、顕在層、順顕在層、潜在層)に適切な施策とKPIを設定することで、効果的なマーケティングが実現できます。

 

早坂遊羽

株式会社koujitsu 取締役 COO


京都大学卒業後、大手SIerにてITコンサルタントとして従事。官公庁や大手民間企業のプロジェクトにおいてメンバーとして関わる中で、よりハンズオンの支援に携わりたいと考えるようになる。その後PRコンサルタント、事業会社広報、人材事業立ち上げを経てkoujitsuへ参画。現職ではマーケティング事業部を統括しながら、プレイヤーとしてクライアントのマーケティング戦略企画・実務運用にも携わっている。

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