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事業リスクマネジメントとは?基礎知識と実践ステップを解説

2024.12.27更新

事業活動を行う上で、さまざまなリスクに直面することは避けられません。これらのリスクを適切に管理し、企業の持続的な成長と安定を確保するための手法が「事業リスクマネジメント」です。本記事では、リスクマネジメントの基本概念から […]

事業活動を行う上で、さまざまなリスクに直面することは避けられません。これらのリスクを適切に管理し、企業の持続的な成長と安定を確保するための手法が「事業リスクマネジメント」です。本記事では、リスクマネジメントの基本概念から具体的な実践ステップ、さらに成功事例までを詳しく解説します。

リスクマネジメントとは何か?

risk management

リスクマネジメントは、企業が直面する潜在的なリスクを体系的に特定・評価し、適切な対応策を講じるプロセスを指します。これにより、予期せぬ事態が発生した際の損失を最小限に抑え、事業の継続性と安定性を確保することが可能となります。

リスクマネジメントの定義と目的

リスクマネジメントとは、組織や個人が直面する潜在的なリスクを特定し、そのリスクを適切に評価、管理、そして軽減するためのプロセスのことです。このプロセスは、企業活動が持続可能であり、効率的に運営されることを目指す上で大事な役割を果たします。
リスクとは、組織が目標達成に向けて進む中で直面する不確実性や障害を指し、これには、予期しないトラブルから予測可能な課題まで、広範な範囲が含まれます。目的は、これらのリスクを完全に排除することではなく、適切に管理し、企業の成長や利益への影響を最小限に抑えることにあります。
適切なリスクマネジメントは、事業の持続可能性を高め、ステークホルダーの信頼を確保するための基盤となるでしょう。

リスクマネジメントが事業に与える影響

リスクマネジメントが事業にもたらす影響は多岐にわたります。最も大きなメリットは、予期せぬ問題が発生した際に、損失を最小限に抑えるための備えができることです。また、これにより経営陣や従業員が安心して業務に取り組める環境を提供することができます。
さらに、リスクマネジメントを徹底することで、企業は市場での競争力を強化できます。例えば、市場変動や法規制の変更といった外部環境のリスクに迅速に対応する能力が高まるため、競合他社に先んじて適応することが可能です。
さらに、リスク管理がしっかりと機能している企業は、投資家や取引先からの信頼が増し、長期的なパートナーシップの構築にもつながります。

事業における主なリスクの種類

Type of risk

事業を運営する上で直面するリスクは多岐にわたります。それらは企業の内部要因から発生するものと、外部環境によるものです。ここでは、事業リスクを代表的なカテゴリごとに整理し、それぞれがどのような課題をもたらすかを解説します。

経営リスク:市場変動や競合他社の影響

経営リスクとは、市場の変化や競合他社の動向など、経営方針や戦略に直接影響を及ぼすリスクを指します。例えば、新規参入者による競争激化や需要の急激な変化は、売上や市場シェアに大きな影響を与える可能性があります。
企業がこのリスクを管理するには、市場調査を継続的に行い、トレンドの把握に努めることが不可欠です。また、競合他社の動向をモニタリングし、自社の強みを活かした差別化戦略を練ることも大切です。事業戦略の柔軟性を確保し、リスク発生時に迅速に対応できる体制を整えることで、経営リスクを最小限に抑えることができます。

財務リスク:資金繰りと収益性の不安定さ

財務リスクは、資金繰りの悪化や収益性の低下といった、企業の財務健全性に影響を与えるリスクです。このリスクが顕在化すると、事業運営に必要な資金が不足し、最悪の場合、倒産に至る可能性もあります。
財務リスクを管理するためには、キャッシュフローの定期的なモニタリングや、収益構造の改善に取り組むことが必要です。また、予算管理を徹底し、必要に応じて外部資金を調達するための計画を立てることも効果的です。加えて、余剰資金の有効活用や投資判断の慎重な実施が、財務リスクの軽減につながります。

法務リスク:コンプライアンスや法規制への対応

法務リスクは、法令違反やコンプライアンスの不履行による罰則や信用失墜のリスクを指します。特に、企業活動が複数の国や地域にまたがる場合、各地の法規制を遵守することが求められます。
法務リスクの管理には、社内に法務部門を設置し、法律に関する専門知識を有するスタッフを確保することが不可欠です。また、全従業員を対象としたコンプライアンス教育の実施や、定期的な内部監査の実施も有効な手段となります。
さらに、外部の法律事務所やコンサルタントとの連携を強化し、必要に応じて専門的な助言を受ける体制を構築することが望まれます。

自然災害やサイバー攻撃などの外的リスク

外的リスクは、企業が直接制御できない要因によって引き起こされるリスクです。自然災害やサイバー攻撃、パンデミックといったリスクは、企業の事業継続に重大な影響を与える可能性があります。
これらのリスクを軽減するためには、リスク発生時の影響を最小限に抑えるための事業継続計画(BCP)を策定することが不可欠です。また、サイバー攻撃に対する対策として、最新のセキュリティ技術を導入し、従業員へのセキュリティ教育を徹底することが大切です。
自然災害については、災害対応マニュアルの整備や、定期的な訓練の実施を通じて、迅速な対応能力を向上させることが求められます。

効果的なリスクマネジメントの5ステップ

risk management process

事業活動におけるリスクを適切に管理するためには、計画的かつ体系的なプロセスが必要です。ここでは、リスクマネジメントを効果的に進めるための5つのステップを解説します。

①リスクの特定

リスクマネジメントの第一歩は、事業に影響を及ぼす可能性のあるすべてのリスクを洗い出すことです。この段階では、潜在的なリスクを網羅的に明らかにすることが求められます。リスクの特定には、ブレーンストーミングや過去のプロジェクトの分析、専門家の意見を取り入れる方法などが有効です。
これにより、現時点では顕在化していないリスクや、見落としがちな課題も含めて洗い出しが可能になります。
また、組織全体で共有されているデータや経験を活用することで、リスク特定の精度をさらに高めることが可能です。リスクの特定を徹底することで、その後のプロセスの質が向上し、結果的にリスクへの対応力が強化されます。

②リスクの分析

次に、特定されたリスクについて、その影響度と発生確率を評価します。この分析の目的は、リスクが事業に与える影響の大きさと、そのリスクが実際に発生する可能性を把握することです。これにより、リスクごとの優先順位を明確にすることができます。
たとえば、あるリスクが発生確率は低いものの、発生時に重大な損失を引き起こす場合、そのリスクは重要な課題として位置づけられるべきです。逆に、発生確率が高くても影響が軽微である場合は、優先順位を低く設定できます。リスクマトリクスなどの手法を活用することで、リスクの評価を視覚的かつ効率的に行うことが可能になります。

③優先度の高いリスクの決定

リスク分析の結果をもとに、どのリスクを優先的に対応すべきかを決定します。この段階では、影響度と発生確率の両方を考慮して、最も事業に深刻な影響を与えるリスクから順に対応策を策定します。優先順位が明確になることで、限られたリソースを効率的に活用し、リスクへの対応をスムーズに進めることが可能です。
例えば、影響度と発生確率がともに高いリスクは即時対応が求められます。一方で、影響度や発生確率が中程度のリスクは、計画的な対応が適しています。また、影響が軽微なリスクについては、定期的なモニタリングを行いながら状況を見守ることで、過剰なリソース配分を防ぐことが可能です。

④責任者の決定

優先度の高いリスクに対する対応策を実行するにあたり、それぞれのリスクに対して明確な責任者を設定することを推奨します。責任者を定めることで、リスク管理の実施状況がより明確になり、プロセス全体の進行をスムーズにすることができます。
適切な責任者を選ぶ際には、リスクの性質やその影響範囲を考慮することが大切です。責任者には必要な権限を与え、適切な判断と実行が可能な環境を整えます。また、対応状況を定期的に報告する仕組みを構築することで、プロセスの透明性が向上し、組織全体でのリスク対応が効果的に進むでしょう。

⑤モニタリングと実行

最後のステップは、対応策の実行とその効果のモニタリングです。一度策定された対応策が効果を発揮しているかを定期的に確認し、必要に応じて改善や調整を行います。リスク環境は時とともに変化するため、モニタリングを怠ると新たなリスクが見過ごされる可能性があります。
モニタリングには、定期的な会議やレポート作成などの仕組みを活用し、組織内で共有することが効果的です。また、リスク対応策が事業全体にどのような影響を及ぼしているかを把握することで、次回以降のリスク管理プロセスの改善にもつながります。
このプロセスを繰り返すことで、組織はリスクに対するレジリエンスを高め、持続可能な成長を実現することができます。

リスクマネジメントを成功させるポイント

リスクマネジメントを効果的に実践するためには、単に手順を踏むだけではなく、組織全体の連携や継続的な改善が大切です。以下では、リスクマネジメントを成功に導くための3つの重要なポイントを解説します。

全社的な取り組みとチームの連携

リスクマネジメントを成功させるには、部門ごとの取り組みにとどまらず、全社的なアプローチが不可欠です。経営層から従業員に至るまで、全員がリスク管理の重要性を理解し、役割を果たすことが求められます。特に、経営層がリスク管理のリーダーシップを発揮することは、組織全体におけるリスク意識を高める上で大切な役割を果たします。
また、チーム間の連携を強化することも必要です。例えば、各部門が抱えるリスクを共有するための定期的な会議を設けたり、部門間で共通の課題に取り組むための横断的なプロジェクトを立ち上げたりすることが効果的です。このような連携により、組織全体で一貫性のあるリスク管理を実現できます。

定期的なリスク評価と改善プロセス

リスク環境は時間とともに変化するため、定期的なリスク評価が欠かせません。一度策定したリスクマネジメント計画が、そのままでは機能しなくなる場合もあります。そのため、リスクの評価を継続的に行い、新たに発生したリスクや状況の変化に対応することが大切です。
さらに、リスク評価の結果をもとに、リスク対応策を見直し、改善を繰り返すプロセスを確立することが求められます。このような継続的なプロセスは、リスク管理の精度を高めるだけでなく、組織全体の柔軟性や適応力を向上させる効果も期待できます。

最新のテクノロジーを活用したリスク監視

現代のリスク管理においては、テクノロジーの活用が非常に大切です。特に、リスクをリアルタイムで監視するためのツールやシステムを導入することで、早期のリスク発見が可能となります。例えば、AIやビッグデータを活用した分析ツールは、膨大なデータの中からリスクを迅速に特定する能力を提供します。
また、サイバー攻撃やシステム障害といったリスクに対しては、最新のセキュリティ技術を導入することで、被害を最小限に抑えることが可能です。クラウドベースの管理ツールやリモート監視システムの利用も、現代の分散型業務環境に適したリスク管理手法として注目されています。
テクノロジーの導入は、単に作業効率を向上させるだけでなく、精度の高いリスク管理を可能にし、競争力の強化にもつながるため、積極的に検討する価値があります。

事業リスクマネジメント導入の成功事例

Risk management example

リスクマネジメントの重要性が高まる中、具体的な企業の取り組みは他社にとっても参考になります。以下に、リスクマネジメントを効果的に導入し、成功を収めている3つの企業の事例を紹介します。

富士通株式会社

富士通は、取締役会に直属する「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体のリスクを適切に把握・対応する体制を整えています。さらに、国内外の各部門やグループ会社にリスク・コンプライアンス責任者を配置し、相互連携を強化しました。
社長直下の「リスクマネジメント室」では、CRMO(Chief Risk Management Officer)のもと、リスク情報全般の把握と対応を行っています。また、全社的な防災体制や合同防災訓練、BCP活動にも積極的に取り組み、リスクマネジメントの徹底を図っています。 

カゴメ株式会社

カゴメは、「食の安全」を中心に、全社的なリスクマネジメント(ERM)体制を構築し、継続的なリスク低減活動を推進しています。各部門での対応に加え、食品企業として重要視する6つの専門委員会を設置し、リスク管理体制の充実を図っています。
2021年には、代表取締役を議長とする「リスクマネジメント統括委員会」を新設し、組織全体でのリスク対応を強化しています。さらに、個人情報保護や震災対策にも注力し、BCPの観点から防災訓練や安否確認訓練を実施するなど、事業継続マネジメント(BCM)にも取り組んでいます。 

高島屋株式会社

高島屋は、社長を委員長とする「高島屋グループCSR委員会」を発足し、グループ全体でのリスクマネジメント体制を構築しています。「高島屋グループリスクマネジメント委員会」では、さまざまなリスクを抽出し、マニュアルの作成・整備を行い、予防体制を強化しているようです。
また、「危機管理」「倫理」「環境」「IR」といった個別課題に対しては、本社の主幹部門が中心となり、関連各部署や企業と連携して的確な対応を行っています。
これらの企業は、それぞれの業界や組織構造に応じたリスクマネジメント体制を構築し、全社的な取り組みを推進しています。これらの事例は、他の企業がリスクマネジメントを導入・強化する際の参考となるでしょう。

まとめ

リスクマネジメントは、企業が直面する多様なリスクを特定・分析し、適切に対応するための大切なプロセスです。これにより、損失を最小限に抑え、事業の継続性や競争力を向上させることが可能となります。成功の秘訣は、全社的な取り組みとチーム間の連携、定期的な評価と改善、最新テクノロジーの活用です。
また、富士通やカゴメなどの事例から、自社特性に応じたリスク管理体制の構築が大切であることが分かります。リスクマネジメントが持つ役割は防御策に留まらず、成長戦略としての側面です。この機会に、自社の体制を見直し、より効果的なリスク管理に取り組むことをお勧めします。

早坂遊羽

株式会社koujitsu 取締役 COO


京都大学卒業後、大手SIerにてITコンサルタントとして従事。官公庁や大手民間企業のプロジェクトにおいてメンバーとして関わる中で、よりハンズオンの支援に携わりたいと考えるようになる。その後PRコンサルタント、事業会社広報、人材事業立ち上げを経てkoujitsuへ参画。現職ではマーケティング事業部を統括しながら、プレイヤーとしてクライアントのマーケティング戦略企画・実務運用にも携わっている。

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