カスタマージャーニーとは カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスを購入及び契約に至る道筋を描いて可視化することです。マーケティングの現場では広く浸透していて、マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラー氏も […]
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスを購入及び契約に至る道筋を描いて可視化することです。マーケティングの現場では広く浸透していて、マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラー氏も、マーケティングにおけるカスタマージャーニーの有効性を紹介しています。
マーケティングでカスタマージャーニーマップを作成する目的
マーケティングで消費者が商品やサービスを購入・契約、そして継続利用につながる感情や行動などの消費者の感情・行動・体験などを設計していくのが、「カスタマージャーニーマップ」です。
カスタマージャーニーマップは、プロセスごとに顧客が扱う媒体や感情、行動を1つの図式にしたフレームワークのことを言います。また、カスタマージャーニーマップに決まったフォーマットはなく、企業規模や事業内容、活用目的によって完成するマップは異なります。
カスタマージャーニーマップを作成するメリット
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の行動・思考を俯瞰的に把握することが可能になり、顧客を第一に考えた施策を検討しやすくなります。その結果、顧客との接点から洗いだすことができるため、顧客へのアプローチを模索して顧客との接点強化にも繋がります。
また多くの企業では、自分の担当ごとに仕事をしていることが多く、社内の意識づけや認識共有が難しい場合があります。しかしカスタマージャーニーマップを共有しておくことで、社内のメンバーと共有が可能になり、社内の施策や目的意識を浸透させて、抜け漏れなどを防ぐことにも繋がります。
カスタマージャーニーマップの作り方
実際にカスタマージャーニーマップは、以下の5つの手順を踏んで作成していきます。
①ペルソナを設定する
②フェーズを設定する
③ペルソナの行動を洗い出しする
④ペルソナの感情・思考を洗い出しする
⑤課題や施策を洗い出しする
ここでは、この5つの手順の設定や洗い出しの仕方について解説します。
ペルソナを設定する
まずは実際に自社の商品やサービスを購入・契約してほしいターゲットイメージのペルソナを設定します。ポイントとして年齢・性別だけでなく、趣味や趣向などの細かいライフスタイルを想定して慎重に設定します。
ペルソナ設定が甘くなると、良質なカスタマージャーニーマップを作成することができません。これまでの社内の顧客をリサーチし、Web閲覧履歴などを緻密に収集して、具体的にターゲットに設定します。
フェーズを設定する
次にマップの横軸として、目的や自社の事業内容に応じてフェーズ、つまりゴールまでのステージを設定していきます。一般的な顧客の購入・契約などの購買活動は、以下のような5つのステージごとに分けることができます。
①商品やサービスに対する認知・興味関心
②情報収集などの理解活動
③他者との比較検討
④購入・契約
⑤継続利用・定期購入
この5つのフェーズは、あくまで一般的な購買活動におけるフェーズ設定であって、事業内容や商品によってフェーズが異なります。自社の目的に沿ったフェーズを設定することが重要です。
ペルソナの行動を洗い出しする
ペルソナの行動を洗い出すには、まずは付箋などを使用して思いついたことを貼り付けていきながら、横軸のフェーズを設定と連動しながら整理していきましょう。
ペルソナの行動を洗い出す作業時の注意点として、ヒアリングやアンケートを活用しながら現状をペルソナ視点でどのような行動・思考にするのかを洗い出していきます。
ペルソナの感情・思考を洗い出しする
次にペルソナが、その行動を起こすことに対しての感情と思考まで洗い出します。感情と思考では意味合いが違い、感情は喜怒哀楽などの行動に伴って発生する心の動きで、思考は「信頼している」、「戸惑っている」などの顧客が考えていることです。
ペルソナの感情と思考を洗い出しのポイントは、あくまでペルソナ=顧客という図式で考え、売り手の願望が入らないようにしなくてはいけません。
そのため、洗い出す感情や思考はポジティブなものだけでなく、ネガティブな感情や思考までしっかり洗い出しておくことが重要です。作成者の独りよがりなマップにしないために、顧客とのタッチポイントに携わる全ての部署で共有・協力して作成していく必要があります。
課題や施策を洗い出しする
ペルソナの行動や感情の把握が可能な段階になったら、これまで洗い出した情報を基に、現状においての課題や問題点を深掘りしていきます。現状の施策では解決することが難しい場合には、改善する施策を洗いだしていきます。
課題や施策の洗い出す方法としては、現状の施策がどのようにペルソナの行動や感情とマッチしていないのか。またペルソナを購入・契約に至らせるためには、どのようなポイントの後押しが足りないかを考察していきます。
カスタマージャーニーマップ活用時の注意点
手順を踏んで作成したカスタマージャーニーマップは、「本当に顧客目線で仕上がっているか」が重要です。人間が作成する以上は、作り手の願望も入りやすくなるため、現実との相違点を見つめて、見直していきましょう。
しかし、完璧なカスタマージャーニーマップは存在しません。それは、顧客の行動や思考は多様化を辿っていて、1つのマップでは顧客目線を完全に捉えることは難しくなってきているからです。
カスタマージャーニーマップは、目的を考えてから必要な部分を適切に活用していくという考えで活用していきましょう。このことを念頭に置いて、カスタマージャーニーマップを活用する時の注意点について解説します。
作成者の希望に沿ったカスタマージャーニーマップ
作成者の願望が入ってしまうと現状の顧客目線を把握することが難しくなると解説しましたが、作成したカスタマージャーニーマップは、あくまで作成者が設定したゴールに辿り着くために作成します。
そのため、マップを共有する全ての人に作成者が描いたゴールが見えるマップを作成する必要があり、作成者の思いが顧客のタッチポイントに携わる全ての人に伝わるマップである必要があります。
作ることを目的としない
カスタマージャーニーマップを作成することがゴールではありません。時間をかけてしっかり作成したマップでも、最終的に顧客獲得に有用でなければ結果として意味がないということです。
あくまで作成したカスタマージャーニーマップは、顧客目線を知り、顧客目線の施策や改善をしながら顧客を獲得・継続利用に繋げることが目的で作成します。
定期的に見直しをする
カスタマージャーニーマップは、一度作成して終わりではありません。パソコンやスマートフォンなどと同じように定期的にアップロードしながら、その時々に合ったカスタマージャーニーマップに調整して活用していくことが重要です。
そのため、最初から精度が高いもの作ろうとする必要はなく、定期的に見直して、現状に合ったマップにブラッシュアップしていきながら精度を高めていきましょう。
カスタマージャーニーマップの使用事例
顧客目線に沿ったカスタマージャーニーマップは、購買プロセスの各フェーズで顧客の感情や行動に合わせた施策を打ち出すことに繋がります。最後に、カスタマージャーニーマップ作成の優れた事例として、海外旅行計画者のカスタマージャーニーマップについてご紹介します。
引用:顧客の行動パターンを理解するためのカスタマージャーニーマップ入門
上記のカスタマージャーニーマップは、「友人と2人で海外旅行を計画している日本人が、旅行先の宿泊先選びにはじめてAirbnbを利用する」というペルソナを想定し、「宿泊候補を探す」→「宿泊先を決める」→「宿泊地に行く」→「宿泊地を評価」という4つのフェーズを設定し、顧客に携わる各タッチポイントにおける行動や感情、思考などをひとつのマップにまとめてあります。
このマップは感情を上下の矢印で表記することで、感情の起伏が分かりやすく、フェーズごとに顧客の感情もビジュアル化され、社内で共有していく上でも優れたマップとなっています。
事業内容などにより作成するマップは違いますが、顧客の行動が多様化していく現代において顧客に沿った施策を講じていくためには、顧客目線に沿ったカスタマージャーニーマップは必ず助けになります。