デジタルマーケティングの世界では、ユーザーの注意を引き付け、行動を促すためのツールとしてランディングページ（LP）が不可欠です。その中でも、記事LPは効果的なアプローチで注目を集めています。記事LPは、情報提供を主目的としながらも、ユーザーのコンバージョンを促す要素を組み込んだページとして、多くのマーケターや企業に利用されています。本記事では、記事LPの制作方法と運用方法を紹介します。

記事LP（ランディングページ）とは？

記事LPは、ウェブメディアやブログに特化したランディングページです。従来の画像中心のランディングページとは違い、テキストを主体にして広告感を抑え、ユーザーの興味を引く構造になっています。

通常LPとの違い

通常のLPはリスティング広告やソーシャルメディア広告によってトラフィックが駆動されるのに対し、記事LPはネイティブ広告によって駆動されます。記事LPは、明確に問題を特定していない潜在的なユーザーや半潜在的なユーザーをターゲットにしており、メディアコンテンツを閲覧した後にネイティブ広告バナーをクリックすることが多いです。

記事LPのメリット

記事LPの制作には、ユーザーの興味を引く前に通常のLPへの遷移を促進し、バウンス率を減らし、製品の魅力に効果的にユーザーを誘導する利点があります。

悩みが浅い潜在ユーザーに興味付けができる

記事LPは、問題を明確に特定していない潜在的なユーザーに対して、彼らの関心を引くコンテンツに焦点を当てます。これにより、製品やサービスへの興味を高めることができます。

LPに遷移する前に購買意欲を高められる

記事LPを用いることで通常のLPへの遷移前に、ユーザーの購買意欲を高める役割も果たします。ユーザーの悩みに対処し、問題を解決するコンテンツを提供することで、製品への興味を一層高めることができます。

記事LPが向いている商材とは？

記事LPが最も効果を発揮するのは、ユーザーが潜在的に悩みを持っている商材です。具体的には、以下のような商材が挙げられます。

• ・EC商材

EC商材は、オンラインでの販売が主体であるため、ユーザーに商品の特徴や利点を詳細に説明する必要があります。記事LPでは、商品の成分内容や権威性、誰が推奨しているかなどを丁寧に伝えることができます。

• ・ユーザーが潜在的に悩み持っているコンプレックス商材

コンプレックス商材は、ユーザーが潜在的に悩みを持っている商品やサービスです。例えば、健康食品や美容製品など、個人的な不安や悩みに対応する商材に効果的です。記事LPを使用することで、ユーザーの悩みに対して親身になり、信頼を築くことができます。

記事LP制作方法6STEP

記事のLP制作は、以下のような6ステップで構成されます。

1.市場調査

記事LP制作の基盤となるプロセスが市場調査です。この段階では、類似の商品やサービスがどのように市場に出回っているのか、どんな訴求が行われているのかを深く探求します。競合他社の動向やユーザーの関心を理解することで、自社の記事LPが市場でどう受け入れられるかの予測が可能になります。具体的な数字を用いて分析することで、より正確な戦略を立てることができます。

2.案件理解

次に、案件理解のステップへと進みます。商品の強みから記事LPを書くのではなく、ユーザーが何に悩んでいて、どんな訴求が刺さるのかから考える必要があります。この段階では、ユーザーの心情を深く理解し、その悩みに対してどのようにアプローチするかを検討します。例えば、化粧品の広告であれば、しわを隠すための化粧の問題点など、ユーザーの細かい悩みに焦点を当てることが重要です。この理解によって、ユーザーに対して真剣に向き合い、効果的な記事LPを作成する道筋が見えてきます。

3.商材リサーチ

商材リサーチは、ユーザーの悩みを解決できる商品やサービスを探求するプロセスです。市場調査と案件理解を基に、どのような商材がユーザーの悩みに応えることができるのかを調査します。例えば、ダイエット商品の場合、ユーザーがどのようなダイエット方法に興味を持っているのか、どのような商品が市場で受け入れられているのかを調査します。この調査によって、記事LPがユーザーの期待に応える方向性が明確になります。

4.参考記事探し

参考記事LPの探し方も、記事LP制作の重要なプロセスです。他社の記事LPを分析し、オリジナルのものを書く前に基本を学ぶ必要があります。他社の成功事例や失敗事例から学び、自社の記事LP作成に生かすことが可能です。このステップは、記事LPの質を向上させ、ユーザーにとって価値のある内容を提供するために不可欠です。

5.原稿作成

原稿作成の段階では、市場調査、案件理解、商材リサーチ、参考記事LP探しの結果を基に、効果的な記事LPを作成します。ユーザーに対して親しみやすい言葉で、商品のメリットだけでなくデメリットや注意点なども丁寧に説明します。具体的な数字を多用することで、信頼性を高めることができます。この段階での工夫と努力が、記事LPの成功を左右する鍵となります。

6.画像作成・文字装飾・リンク置換・システム設計

記事LP制作の最終段階では、以下の4つの要素に焦点を当てます。

1. 画像作成: 記事LPにおける画像作成は、ユーザーの関心を引きつけるために重要です。化粧品や個人的な不安に関連する商品など、ユーザーの悩みに対応する視覚的な要素を強化します。具体的には、商品の使用前後の比較画像や、商品の特徴を強調するイラストなどが効果的です。
   
2. 文字装飾: 文字の装飾も記事LPの魅力を高める要素です。重要なポイントを強調するための太字や斜体、色の使用など、読み手にとって重要な情報を際立たせる工夫が求められます。例えば、特定の成分による効果を強調する場合、その成分名を色付きで表示するなどの工夫が可能です。
   
3. リンク置換: 記事LP内でのリンク置換は、ユーザーが求める情報へのアクセスを容易にするための重要なステップです。関連する商品ページや詳細情報へのリンクを適切に配置し、ユーザーが求める情報へのジャンプをスムーズにします。リンクのテキストは、ユーザーにとって理解しやすい言葉で記述することが重要です。
   
4. システム設計: 記事LPのシステム設計は、全体の構造や動作を計画するプロセスです。ユーザーが記事LPを快適に閲覧できるよう、ページのロード速度の最適化やレスポンシブデザインの適用など、技術的な側面からの最適化が求められます。

この6つ目のステップは、記事LPの完成度を一段階高めるための重要なプロセスです。視覚的な要素と技術的な要素のバランスを取りながら、ユーザーにとって魅力的で使いやすい記事LPを作成することが目標となります。

記事LPで成果を生み出すセールスライティングの法則2選

記事LPの制作においては、セールスライティングの法則を効果的に活用することが重要です。下記に2点紹介します。

PASONAの法則

PASONAの法則は、問題（Problem）、解答（Answer）、解決（Solution）、結果（Outcome）、次の行動（Next Action）の頭文字を取ったもので、セールスライティングの基本的なフレームワークです。この法則に従って記事LPを構築することで、ユーザーの問題を明確にし、解決策を提供し、次の行動につなげることができます。

具体例：ダイエット商材

1. 問題（P）: ユーザーのダイエットに対する悩みや課題を明示
2. 解答（A）: その悩みに対する解答や解決策を提示
3. 解決（S）: 商品の効果や機能を紹介し、悩みの解消方法を説明
4. 権威性: 「医師が認めた！」などの証拠を挙げる
5. 体験談: 「芸能人の～も使ってる！」などの実際の使用例を紹介
6. 結果（O）: 商品を使用した後の具体的な効果や結果を示す
7. 次の行動（N）: 購入への誘導やアンケートの実施など、次のステップへの誘導

PASONAの法則は、記事LPを制作する場合において、解決（S）と結果（O）の間に権威性や体験談を入れ込むことが一般的です。また、Nでは、返報性の原理をユーザーに働かせるため、アンケートを取ることが多いです。何かをした見返りに何かがもらえる心理になることが多いため、アンケートを入れると、割引などの特典があやしいものと感じさせない効果があります。

PASONAの流れ通りになっているのが最もオーソドックスですが、PASONAの要素が入っていれば順番がずれる場合もあることを理解しておくとよいでしょう。

この法則は、ダイエット商材など、悩みが深い商材に特に効果的に使われます。ユーザーの心理を深く探ることで、より効果的な記事LPを制作することが可能となります。

AIDCAの法則

AIDCAの法則は、セールスライティングにおける別の重要なフレームワークで、注意（Attention）、興味（Interest）、欲望（Desire）、確信（Conviction）、行動（Action）の頭文字から成り立っています。この法則は、特に悩みが深くない商材に対して効果的で、ユーザーに素早く納得してもらえる構成を提供します。

具体例：ホワイトニング商品の場合

1. 注意（Attention）: 「たった1週間で歯が3トーン明るく！」など、劇的な効果を前面に押し出すキャッチフレーズ。
2. 興味（Interest）: 商品の成分や特許取得の技術、セレブや専門医が推奨しているなど、他との差別化を図る情報を提供。
3. 欲望（Desire）: 「笑顔がもっと輝く！」「自信を取り戻す！」など、ユーザーの欲望に直接訴えかける表現。
4. 確信（Conviction）: 「実際に使用した方々のビフォーアフター写真」など、信頼性を高める要素。
5. 行動（Action）: 期間限定の割引情報や、購入ページへの明確な誘導など、購買行動へとつなげる呼びかけ。

ホワイトニング商品のように、ユーザーがすぐに理解し、納得して購買に移行できるような構造が求められる場合に、この法則がうまく活用されます。この法則に従って記事LPを構築することで、ユーザーの購買プロセスをスムーズに進め、効果的なコンバージョンを実現することができます。

法則の有効的な使い分け方法

PASONAの法則とAIDCAの法則は、それぞれ異なる目的とターゲットに対して効果的です。PASONAは問題解決に焦点を当てたセールスライティングに、AIDCAは興味から購買へのプロセスに焦点を当てたセールスライティングに適しています。記事LPの目的とターゲットに応じて、これらの法則を適切に使い分けることが重要です。

記事LPの成功事例

記事LPの成功事例を以下に紹介します。

画像の精度にこだわった記事LP制作

画像の精度にこだわった記事LP制作は、ユーザーの関心を高め、製品やサービスへの興味を引き出す効果的な手法です。具体的には、高解像度の画像を使用し、色彩や構図に工夫を凝らすことで、視覚的な魅力を最大限に引き出します。このようにして、記事LPはユーザーの悩みや問題を解決するコンテンツに焦点を当て、製品やサービスへの興味を高める役割を果たします。

この手法のメリットとして、伝統的なLPへの移行前にユーザーの興味を引き付けることができる点が挙げられます。具体的な数字で言えば、バウンス率の削減が20%、製品への訴求効果の向上が15%などの効果が見られることが一般的です。ただし、画像の選定や配置には専門的な知識と技術が求められるため、プロのデザイナーと連携することが重要です。

Brfore

After

媒体特性に合わせた記事LP制作

記事LP制作において、媒体の特性を理解し、それに合わせた戦略を展開することが重要です。特に、SNSプラットフォームのTikTokとFacebook（FB）では、ユーザーの行動特性やプラットフォームの規制などが異なるため、異なるアプローチが求められます。以下に具体的な戦略と成果について詳しく解説します。

Facebook/Instagram（FB/IG）

FB/IGでは、視認性が高く、権威性を感じさせるデザインが効果的です。具体的な戦略としては以下のような点が挙げられます。

• ・視認性重視のデザイン: きれいすぎるトーンよりも、目立つ色使いや大きな文字
• ・安心・理解の要素強化: 知識がない人でも安心して理解できるよう、シンプルな説明や図解
  

TikTok

• ・クリーンな訴求: うそみたいなビフォーアフター画像よりも、真実味のあるクリーンな訴求
• ・情報量の調整: バナー広告では情報量を少なくし、気になる要素を強調。動画広告では、画像より多くの情報を持って入る顕在層に対し、長々とした記事ではなく、さくっと読める構成
  

成果の出る魅力的な記事LP制作において重要なこと

成果を出す記事LPを制作するにはユーザー視点での制作が不可欠です。自分本位で書くのではなく、ユーザーが何を求めているのか、何に悩んでいるのかを深く理解し、それに応じたコンテンツを提供することが重要です。以下、具体的なポイントと実例を通して詳しく解説します。

• ・ユーザーの悩みに共感: ユーザーが抱える具体的な悩みに共感し、それを解決する方法を提供します。
• ・ユーザーの求める情報提供: ユーザーが何を知りたいのか、何を求めているのかを把握し、それに応じた情報を提供します。
• ・リサーチの重要性: ユーザーのニーズを正確に把握するために、市場調査やターゲット層の分析など、十分なリサーチが必要です。

「しわ訴求」のLP制作における実例

1. 共感表現の選定: 「しわ訴求」のLP制作において、私たちは共感表現として「化粧で隠してたんだけど」という言葉を選定しました。この言葉を選ぶことで、しわに悩むユーザーの気持ちに寄り添い、共感を得られると考えました。
2. 課題:しかし、この共感表現には誤りがありました。実際にしわで悩んでいる多くのユーザーは、化粧でしわを隠そうとは考えていないことが多いのです。この誤りを犯してしまった背後には、私たちの自分本位の考え方が存在していました。

私たちがこのような誤りを犯した主な要因は、リサーチ不足でした。ユーザーの実際の悩みや行動を十分にリサーチせず、自分たちが伝えたいことや商品の強みだけに焦点を当ててしまいました。この結果、ユーザーの真の気持ちや悩みに寄り添うことができなかったのです。だからこそ、常にユーザー視点で、どのようなニーズがあるのか、どのような感情でユーザーは購入にいたるのかを徹底的にリサーチすることが大切です。

まとめ

記事LP制作は、単なる広告ではなく、ユーザーとのコミュニケーションツールとしての役割を果たします。以下は、成功する記事LP制作の要点です。

• ・ユーザー視点での制作: ユーザーが何を求めているのか、何に悩んでいるのかを理解し、共感する内容を提供することが重要です。
• ・セールスライティングの法則の活用: PASONAやAIDCAの法則など、効果的なセールスライティングの法則を活用し、ユーザーの問題を明確にし、解決策を提供します。
• ・画像の精度と視認性: 画像の精度を上げることで、特に女性ユーザーなどに訴求することが可能です。視認性が高いデザインも効果的です。
• ・媒体特性の活用: TikTokやFBなど、媒体の特性を生かした記事LP制作が求められます。バナーと動画の違いも考慮に入れることが重要です。
• ・具体的な成果: 具体的な数字を用いて、改善された成果を示すことで、信頼性を高めます。
• ・適切な商材の選定: 記事LPが向いている商材を理解し、それに合わせた内容を展開することで、より効果的な結果を生み出すことができます。

記事LP制作は、単なる広告手法ではなく、ユーザーとの信頼関係を築くための重要なプロセスです。これらの要点を押さえ、ユーザーに対して真剣に向き合うことで、記事LPはその真価を発揮します。最終的には、ユーザーの心をつかむことが、成果への道筋を描く鍵となります。

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早坂遊羽

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株式会社koujitsu 取締役 COO

京都大学卒業後、大手SIerにてITコンサルタントとして従事。官公庁や大手民間企業のプロジェクトにおいてメンバーとして関わる中で、よりハンズオンの支援に携わりたいと考えるようになる。その後PRコンサルタント、事業会社広報、人材事業立ち上げを経てkoujitsuへ参画。現職ではマーケティング事業部を統括しながら、プレイヤーとしてクライアントのマーケティング戦略企画・実務運用にも携わっている。