LP（ランディングページ）は、商品やサービスの購入、会員登録や資料請求など、訪問したユーザーに特定の行動を促す目的で作成されるWebページのことです。この記事では、LPの基本的な知識と、初心者でも成果を出せるポイントを紹介します。

LPとは？

LP、またはランディングページとは、特定の目的を持ったWebページのことを指します。広義では「最初に訪れたページ」という意味もありますが、マーケティングの文脈では「商品やサービスの詳細情報をまとめた一枚のページ」として理解されます。このページの主な目的は、ユーザーに商品やサービスの購入、資料のダウンロード、問い合わせなどのアクションを起こしてもらうことです。このような行動を「コンバージョン」と呼び、LPの成功はこのコンバージョン率によって測定されます。

LP制作の流れ

ランディングページ（LP）の制作は、特定のアクションをユーザーに起こしてもらうための重要なプロセスです。成功するLPを制作するためには、以下のステップに従って進めることが推奨されます。

KPI/KGIの作成

LP制作の最初のステップは、明確な目的と目標を設定することです。KGI（Key Goal Indicator）は最終的なビジネス目標を示し、KPI（Key Performance Indicator）はその目標達成のための中間指標を示します。例えば、KGIが「月間1000件の問い合わせを得ること」であれば、KPIは「日々のページビュー数」や「クリック率」、「フォームの送信数」などになります。これらの指標を設定することで、LP制作の方向性を明確にし、効果的な戦略を立てることができます。

ペルソナの分析・設定

ペルソナとは、ターゲットとなるユーザーの仮想的なキャラクターを設定することです。年齢、性別、趣味、職業などの基本的な情報から、そのユーザーの購買動機や情報収集の方法など、詳細なプロファイルを作成します。ペルソナを設定することで、ユーザーの真のニーズや問題点を明確にし、それに応じたLPの内容を最適化できます。ペルソナの設定は、ユーザーとのコミュニケーションを深化させ、よりパーソナライズされたコンテンツを提供するための基盤となります。

構成

LPの構成は、ユーザーの興味や行動を導くためのものです。情報の流れやページ内の導線、コンテンツの配置など、ユーザーが求める情報を効果的に伝える構成を心がけることが重要です。特に、ユーザーがページ内で迷わないような明確な導線を設定することで、ユーザーの離脱率を低減させることができます。

コンテンツ制作

コンテンツはLPの中心となる重要な部分です。商品の特長やサービスのメリットを「3つのポイント」などで明確に伝え、実際の利用者からの「5つ星のレビュー」や「過去1ヶ月で1000件以上の問い合わせがあった」といった数字を用いて信頼性を高めることが効果的です。平均的なLPでは、ユーザーがページに滞在する時間は約2分間と言われています。この短い時間内に、ユーザーの関心を引き付け、アクションを促すための情報を提供することが必要です。

デザイン制作

デザインはユーザーの第一印象を決定づける要素です。2022年のデザイントレンドによれば、シンプルで直感的なデザインが好まれています。また、ユーザーが情報を探しやすい「F字型」や「Z字型」のレイアウトが推奨されています。具体的な色彩に関しては、ブルーは信頼性を、赤は緊急性を示すとされ、これらの色を適切に使用することで、ユーザーの行動を導くことができます。

ランディングページの公開

LP公開に際しては、スマートフォンや、想定されるOS、ブラウザで見え方を確認した上で公開します。個人向け商材の場合は特にほとんどスマートフォンで閲覧されることが多いため、モバイルでの見え方も確認しましょう。公開したら、URLから適切にアクセスできるか確認しましょう。

分析・改善

公開後の分析では、Google AnalyticsやHotjarなどのツールを使用して、ユーザーの行動を詳細に追跡します。例えば、「平均滞在時間が2分以上」というデータや、「コンバージョン率が5%以上」というデータを基に、LPの強化点や改善点を見極めることができます。特に、ユーザーがページを離れる「バウンス率」を低く保つことで、より多くのユーザーにアクションを起こしてもらうことが期待できます。

LP制作の初心者が押さえておくべきポイント

LP制作には多くの要素が関わってきますが、初心者が特に注意すべきポイントを以下に紹介します。

LPの作り方を体系的に理解する

LP制作の基本的な手順や流れをしっかりと理解することは、初心者にとって非常に重要です。LPの目的やターゲットユーザー、コンテンツの構成など、基本的な要素を一つ一つ確認しながら、それぞれの要素がどのように連動しているのかを把握することで、効果的なLPを制作する土台を築くことができます。また、成功事例や失敗事例を参考にすることで、より具体的なイメージを持つことができます。さらに、LP制作の際には、最新のデザイントレンドやユーザビリティの研究結果を参考にすることで、ユーザーの期待に応えるLPを制作できます。

LPを作成する目的を明確にする

LP制作の目的を明確にすることは、効果的なLPを制作するための基本中の基本です。例えば、商品の販売を目的とするLPと、メールアドレスの収集を目的とするLPでは、必要なコンテンツやデザインが大きく異なります。目的を明確にすることで、ユーザーに求めるアクションや、そのための情報提供の方法など、具体的な方針が見えてきます。さらに、LPの目的に応じて、適切なデザインやコンテンツの選定、CTAボタンの配置など、細部までの最適化が可能となります。

無料のツールを使って作成する

初心者でも手軽にLPを制作するためには、無料のツールやテンプレートを活用することがおすすめです。現在、多くの無料のLP制作ツールが提供されており、ドラッグ&ドロップだけでデザインやレイアウトを調整できます。これらのツールは、プロのデザイナーが考えた効果的なデザインをベースに、オリジナルのコンテンツを追加できます。これにより、初心者でも短時間で高品質なLPを制作することが可能となります。また、これらの無料ツールを使用することで、初心者でもデザインの基本やレイアウトの調整などのスキルを身につけることができます。

効果的なLPを作るために必要なことは？

LPの効果を最大化するためには、様々なアプローチや戦略が考えられます。以下に、その主要なアプローチを詳しく紹介します。

外部に依頼する

専門的な知識やスキルが必要な場合、外部の専門家や制作会社に依頼することで、高品質なLPを制作できます。特に、デザインやプログラミング、コピーライティングなど、多岐にわたる専門知識が求められるLP制作においては、一つの企業や個人が全てのスキルを持っていることは稀です。そのため、それぞれの分野のプロフェッショナルに依頼することで、各領域の最新のトレンドやノウハウを取り入れたLPを制作することが可能となります。

分析を専門とする企業に依頼する

LPの効果を分析し、改善策を提案してもらうために、分析を専門とする企業に依頼することも考えられます。これには、アクセス解析ツールを使用してユーザーの動きを詳細に追跡し、どの部分がユーザーの興味を引いているのか、どの部分で離脱してしまっているのかなどの情報を取得することが含まれます。また、A/Bテストを行い、異なるデザインやコンテンツのバージョンでどれが最も効果的であるのかを検証するサービスも提供されています。このような分析を基に、LPの改善点を明確にし、より高いコンバージョン率を目指すことができます。

LPに必要なスキル

効果的なLPを制作するためには、多岐にわたるスキルが求められます。以下に、その主要なスキルを詳しく紹介します。

制作スキル

デザインは、LPの成功において中心的な役割を果たします。ユーザーがページに留まり、情報を深く探求するかどうかは、デザインの質に大きく依存しています。以下は、デザインスキルの主要な要点です。

• ツールの使用

現代のデザイナーには、Adobe XD、 Sketch、 Figmaなどのデザインツールを効率的に使用する能力が求められます。これらのツールは、プロトタイピングやチームとのコラボレーションを容易にします。

• 色彩の知識

色はユーザーの感情や行動に影響を与えます。例えば、赤は緊急性や注意を引きつけるのに効果的ですが、青は信頼性や安心感を与えます。これらの色彩の心理を理解し、適切に使用することが重要です。

• ユーザビリティの考慮

デザインは美しいだけでなく、使いやすくなければなりません。ユーザビリティを考慮したデザインは、ユーザーが求める情報やアクションボタンを簡単に見つけることができ、結果的にコンバージョン率を向上させるでしょう。

これらのスキルや知識を持つことで、ユーザーに魅力的で使いやすいLPを提供できます。

プログラミングスキル

LP制作におけるプログラミングスキルは、ユーザーに快適なブラウジング体験を提供するための基盤となります。以下は、LP制作において必要とされる主要なプログラミングスキルのポイントです。

• 基本的なプログラミング言語の習得

HTML、 CSS、 JavaScriptは、Webページ制作の基本となる言語です。

これらの言語を習得することで、デザインを正確にコードに落とし込み、動的な要素やアニメーションを実装できます。

• フレームワークの活用

BootstrapやTailwind CSSなどのフレームワークを使用することで、効率的かつ統一感のあるデザインを実現できます。

これらのフレームワークは、レスポンシブデザインの実装やコンポーネントの再利用を容易にします。

• 最適化技術の知識

Webページの読み込み速度は、ユーザー体験に大きな影響を与えます。

画像の圧縮、キャッシュの利用、CDNの活用など、ページの速度を最適化するための技術を知っておくことは、LPの成功に直結します。

これらのスキルを習得することで、ユーザーにとって使いやすく、かつ効果的なLPを制作できます。

ユーザーと商材を理解するスキル

LPの成功は、ユーザーに対する効果的なコミュニケーションにかかっています。このため、ユーザーの悩みや商材を理解するスキルはLP制作において極めて重要な役割を果たします。以下は、このスキルの主要な要点です。

• ターゲットユーザーの心理の理解

ユーザーが求めるものは何か、どのような情報に興味を持っているのかを把握することで、効果的なコンテンツを提供できます。

例えば、20代の若者と50代の中高年では、興味や価値観が異なる可能性があります。これを理解することで、ターゲットに合わせたメッセージを伝えることができます。

• 説得力のある文章の作成

商品やサービスの特長だけでなく、それがユーザーの問題やニーズをどのように解決するのかを明確に伝えることが重要です。

また、具体的な数字や事例を取り入れることで、信頼性を高めることができます。

• 信頼感を高める情報提供

ユーザーレビューや専門家の意見、賞や認証のロゴなど、信頼性を示す要素を取り入れることで、ユーザーの不安を取り除き、アクションを起こしやすくします。

これらのスキルを磨くことで、ユーザーに対して信頼感を持たせ、LPの目的を達成する確率を高めることができます。

まとめ

LP（ランディングページ）は、ユーザーに特定のアクションを起こしてもらうための非常に重要なツールとして位置づけられています。このLPを制作する際には、魅力的なデザインの構築から、効果的なプログラミング技術、さらには商品やサービスの魅力を伝える営業スキルが不可欠です。

しかし、技術や知識が初心者レベルであっても、現在は多くの無料のツールやテンプレートが提供されています。これらを活用することで、初心者であっても十分に魅力的で効果的なLPを制作することが可能です。また、LP制作の流れやポイントを体系的に学ぶことで、より高品質なページを作成するための基盤を築くことができます。

最終的に、LPの成功はその内容やデザイン、そしてユーザーへのアプローチ方法にかかっています。初心者であっても、適切な知識とツールを活用すれば、目的に合わせた効果的なLPを制作することができるのです。

早坂遊羽

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株式会社koujitsu 取締役 COO

京都大学卒業後、大手SIerにてITコンサルタントとして従事。官公庁や大手民間企業のプロジェクトにおいてメンバーとして関わる中で、よりハンズオンの支援に携わりたいと考えるようになる。その後PRコンサルタント、事業会社広報、人材事業立ち上げを経てkoujitsuへ参画。現職ではマーケティング事業部を統括しながら、プレイヤーとしてクライアントのマーケティング戦略企画・実務運用にも携わっている。