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マーケティング戦略の成功事例10選|国内事例を参考に6つの手順で立案

2024.09.14更新

企業はマーケティングを成功させるために、さまざまな戦略を立案し実行しなければなりません。正しい戦略を立てなければ、どれだけ素晴らしい戦術を持っていても成功は難しいでしょう。したがって、業界や業種を問わず、マーケティング戦 […]

企業はマーケティングを成功させるために、さまざまな戦略を立案し実行しなければなりません。正しい戦略を立てなければ、どれだけ素晴らしい戦術を持っていても成功は難しいでしょう。したがって、業界や業種を問わず、マーケティング戦略は必要不可欠です。

マーケティング戦略を立てる際には、ターゲットや市場の分析など行い、方向性を決める必要があります。しかし、経験や知識がなければ戦略を立てるイメージが思い浮かばないかもしれません。

そこで本記事では、戦略のイメージが湧くようにマーケティング戦略を取り入れた10の事例を紹介します。成功事例からマーケティングのイメージをつかみ、あなたの業務アップに生かしてみてください。

マーケティング戦略とは顧客ニーズを把握して方向性を決定すること

【ウェビナー資料より|株式会社koujitsu】

1990年、日本マーケティング協会ではマーケティングを「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」と定義しました。(参考:公益社団法人日本マーケティング協会が34年振りにマーケティングの定義を刷新|PRTIMES

つまり、マーケティングは市場調査や分析、商品の企画や開発、広報活動やプロモーションまですべての活動を指します。

ただし、具体的な戦略もなくSNSに取り組んだり、広告を打ったりしても成功できません。マーケティングを成功させるには、具体的なマーケティング戦略が必要です。

マーケティング戦略とは、自社商品や自社サービスを売り上げにつなげるためのアプローチを意味します。マーケティング戦略を推し進めるには、適切なタイミングで市場調査や企画、開発などを実施し、市場や顧客を分析しなければなりません。

マーケティングの方向性や具体的なプラン策定などの戦略は成功事例を参考にして立案することをおすすめします。

マーケティング戦略6つの手順

マーケティング戦略を立案、実施する際の手順は以下の6つです。

1.外部環境や社内環境を分析(市場調査・市場分類)

  • 市場規模や人気商品、人気サービスの調査と分析を行う
  • 競合他社の状況調査と分析を行う
  • 年齢、性別、居住地などで市場の分類(セグメンテーション)を行う

2.ターゲットの明確化

  • ペルソナの設計を行う
  • 効果的に売り上げにつながるターゲットを定める

3.自社のポジショニングを確認して差別化を図る

  • 自社商品、サービスの立ち位置を確認する
  • 競合他社との差別化を図る

4.顧客のベネフィット(価値)を検討

  • 顧客が商品やサービスを使用した際に得られる利益や価値を検討する戦略を決定して実行
  • マーケティング戦略を検討して最適な戦略を決定する
  • 宣伝広告を打ち、販売を開始する

5.戦略の評価と改善

  • 計画どおりに実行できているかチェックする
  • 目標の達成度合いを確認する
  • 評価結果を元に分析して改善する

6.戦略の評価と改善

  • 計画どおりに実行できているかチェックする
  • 目標の達成度合いを確認する
  • 評価結果を元に分析して改善する

 

マーケティング戦略を立案する際にはフレームワークを活用すると効果的です。フレームワークに関しては、下記の記事を参考にしてください。

マーケティング戦略に活用したいフレームワーク6選!成功事例も紹介

マーケティング戦略による成功事例10選

マーケティング戦略の成功事例を紹介します。紹介する事例は、厳選した10の成功事例です。

1.株式会社ユニクロ
2.スターバックスジャパン
3.ライフネット生命株式会社
4.スタディサプリ
5.株式会社スタジオアリス
6.レッドブル・ジャパン株式会社
7.横浜DeNAベイスターズ
8.Apple
9.IKEA
10.ハーゲンダッツ

    それぞれ詳しく解説します。

    アパレル業界1位『株式会社ユニクロ』のマーケティング戦略事例

    『株式会社ユニクロ』は言わずと知れた、株式会社ファーストリテイリングの傘下にあるアパレル会社です。2021年には時価総額が10兆円を超え、アパレル業界で1位になりました。

    ヒートテックやフリースなどのヒット商品のほか、機能性や低価格に特化した多種多様な商品を取り扱っています。

    ユニクロはどのようなマーケティング戦略を取ったのでしょうか。フレームワークのSTP分析を元に、考えます。

    下の表はS、T、Pのそれぞれを書き出したものです。

    Segmentation 顧客ニーズに着目した市場の細分化
    Targeting 「カジュアル/フォーマル」と「トレンド/ベーシックか」の流動的な顧客ニーズで捉える
    Positioning ・多くの人に広く長く支持される商品の供給・安価で品質のいいアイテムの供給

    ユニクロの事例は、とくにTargetingが競合他社と異なり特徴的です。

    4P戦略の成功事例『スターバックスコーヒージャパン株式会社』

    『スターバックスコーヒー』はアメリカ合衆国の喫茶店チェーンです。4P戦略で成功した事例といえます。

    4P戦略の具体的な内容は以下のとおりです。

    Product(製品) ・オリジナルメニューを考案・高品質で安心感のあるコーヒー豆を使用・多様なメニュー
    Price(価格) 高級感を感じられる高価格設定
    Place(場所) 人が集まる中心街の好立地に出店
    Promotion(宣伝・促進) 口コミを重視しているテレビCMなどの広告宣伝は一切していない

    スターバックスコーヒーは、とにかく高級感にこだわったマーケティング戦略です。日本での1号店に銀座を選んだことは有名であり、多くの人が知るところでしょう。

    「高価な立地の高品質なコーヒー」というブランディングで、他社との差別化に成功し顧客獲得につながった成功事例です。

    オンライン生保で成功した『ライフネット生命株式会社』の4P戦略

    『ライフネット生命』は見積り、資料請求、申込がオンラインですべて完結することで、従来の生命保険との差別化したマーケティング戦略の成功事例です。

    ライフネット生命を4P戦略のフレームワークで解析すると、以下のようになります。

    Product(製品) ・掛け捨て型のシンプルな保険に特化・わかりやすい
    Price(価格) 保険料水準を他社よりも約3割安く設定
    Place(場所) ・見積りから申込までオンラインのみで完結する・場所を選ばない
    Promotion(宣伝・促進) ・Web広告を活用・SNSでの情報発信・テレビCMでわかりやすさと安さをアピール・インターネット上で24時間365日いつでも申し込みが可能

    ライフネット生命のマーケティング戦略は、忙しい現代人にわかりやすさと時間や場所を選ばずに申し込める手軽さで差別化できた成功事例です。

    予備校に行けない高校生をターゲットにした『スタディサプリ』のマーケティング戦略

    オンライン学習で知られる『スタディサプリ』は、リクルートグループのサービスです。STP分析を用いたマーケティング戦略の成功事例です。

    具体的なSTP分析の内容を以下の表にまとめました。

    Segmentation ・大学進学希望の高校生・ハイレベルな受験対策授業を受けたい受験生
    Targeting ・地方で暮らしている・予備校に行けない高校生・予備校の選択肢が少ない高校生
    Positioning 低価格でありながらレベルの高い講義内容を提供

    スタディサプリはスマホの普及に伴い、隙間時間を利用して学習できる点でも評価されています

    また、大学受験生での成功事例を元に、小学生や中学生、TOEIC、ビジネス英会話を学びたい社会人などをターゲットに新たなサービスを展開しました。

    家族写真で成功『株式会社スタジオアリス』のマーケティング戦略事例

    『スタジオアリス』は家族写真や子どもの写真を主としたフォトスタジオです。現在の店舗数は約500店で、マーケティング戦略で成功した事例といえます。

    スタジオアリスのマーケティング戦略を、STP分析を用いて下表にまとめました。

    Segmentation 子どもの成長やイベントを記念写真として残したい家族層
    Targeting ・子ども向けに特化した写真館・ファミリー向け
    Positioning ・競合他社がほとんどいない市場・家族で気軽に行ける・女性スタッフが子どもの機嫌をとる写真館・大型商業施設に店舗を出店

    スタジオアリスでは、店内の見える位置にぬいぐるみを配置したり、着付けやメイクも店舗内で完結したりとさまざまな工夫をしています。

    競合他社がほとんどいない市場を選んだマーケティング戦略は秀逸な成功事例です。

    エナジードリンク市場をつくった『レッドブル・ジャパン』の成功事例

    「翼をさずける」で人気のエナジードリンク『レッドブル』が、日本の市場に参入したのは2005年でした。レッドブルのマーケティング戦略は、たった数年で古くからある大手飲料メーカーを一気に追い抜いた成功事例です。

    レッドブルは2013年には世界のエナジードリンク市場の約7割のシェア率を獲得しました。もちろん、2024年現在もエナジードリンクメーカーとして、第一線で活躍しています。

    レッドブルのマーケティング戦略をSTP分析を用いて下表にまとめました。

    Segmentation 20代〜30代の若い層
    Targeting ・モチベーションを上げたい人・リフレッシュしたいという人
    Positioning ・新しいコンセプトの「エナジードリンク」市場を作る・栄養ドリンクの既存企業とは差別化した

    レッドブルが成功したもっとも大きな戦略は、従来あった栄養ドリンク市場ではなく、新たに「エナジードリンク」の市場を作り出したことです。

    また、中高年が飲む飲料水ではなく、若い層に向けてマーケティング戦略を打ったことも成功の要因といえます。

    徹底した自社ブランディング戦略の『横浜DeNAベイスターズ』

    横浜DeNAベイスターズの年間来場者数は、12球団中の最下位からV字回復しました。2011年は約110万人だった来場者数が、2018年までに約2倍に増加したといいます。

    どのようなマーケティング戦略だったのでしょうか。STP分析を用いて下表にまとめました。

    Segmentation 20~30代の男性会社員
    Targeting アクティブサラリーマン(年に数回程度しか足を運ばないファン)
    Positioning ・おしゃれな横浜を前面に押し出す・会場の雰囲気をターゲット層に合わせる・関連グッズをターゲット層に合わせる・12球団の中で独自性を確立

    横浜DeNAベイスターズのマーケティング戦略への取り組みは、顧客に関するデータがまったく無い状態からのスタートでした。約7年間を費やし、横浜の印象にあわせたブランディングによって成功した事例です。

    SWOT戦略でシェアを拡げた『IKEA』の事例

    日本でも人気の『IKEA』は、スウェーデンで1943年に創業された家具メーカーです。一度は日本から撤退したことのある企業ですが、綿密なマーケティング戦略によって日本でシェアを拡大しました。

    IKEAが取ったSWOT戦略の事例を紹介します。SWOTの具体的な分析は下表のとおりです。

    Strength(強み) ・DIY製品で組み立てコスト削減・直接販売サイトの運営・イラストのみの説明書(グローバル化)
    Weakness(弱み) ・日本の規格に沿っていない・アジアでのシェアが少ない
    Opportunity(機会) ・北欧商品のブーム・通販の一般化・DIYの受け入れ態勢
    Threat(脅威) ・DIYに抵抗を感じる人が一定数存在する・日本の住宅の狭さによって商品が限定される・競合家具メーカーがある

    DIYとインターネットの普及により通販が一般化されたことで、IKEAの強みが時代にマッチしたといえます。日本から撤退した過去があることから、環境が大事なことがよくわかる事例です。

    iPhoneとの連携機能でシェアを伸ばす『Apple』のマーケティング戦略

    Apple社はMac(Macintosh)やiPhone、Apple Watchなどで有名な、アメリカに本社のある家庭用電化製品およびソフトウェア製品のメーカーです。

    日本におけるスマートフォンのシェアは約67%がiPhoneであり、圧倒的な人気となっています。しかしながら、日本市場でのシェア拡大は難しい状況でした。(参考記事:総務省「情報通信白書」

    上記のような状況の中、Apple Watchとの連携やスマートホーム向けの統一規格「Matter」の登場や電気自動車への参入も視野に入れたマーケティング戦略を打ち出しています。

    SWOT分析は下表のとおりです。

    Strength(強み) ・圧倒的なブランド力・スマートフォンの先駆者・Apple Watchのシェア拡大
    Weakness(弱み) ・製品価格が競合他社よりも高額・iPadの位置づけに苦戦している・スマートスピーカー事業の伸び悩み
    Opportunity(機会) ・スマートフォンアプリの発展・日本で3キャリアからのiPhone発売・世界的なEV車開発の動向
    Threat(脅威) ・競合他社のスマートフォンやパソコンの存在・スマートフォン市場全体の伸び悩み

    2019年、Apple Watchの出荷台数がスイス全体の腕時計出荷台数を上回り、競合他社にブランド力を見せつけた結果となりました。(参考記事:JETRO「アップルウォッチの出荷台数、スイス産の腕時計出荷数を抜く」

    Appleのマーケティング戦略は、新たな市場でもブランド力を利用してシェアを獲得している成功事例です。

    高級志向のマーケティング戦略で成功した事例『ハーゲンダッツ』

    ハーゲンダッツは、世界中で愛されている高級アイスクリームブランドです。1984年に日本での販売が開始されてから40年が経過していますが、現在も日本で愛され続けています。

    ハーゲンダッツのマーケティング戦略は高級感や特別感を前面に押し出したものです。具体的な4P戦略の内容を下表に示します。

    Product(製品) ・厳選された原材料を使用・限定商品や季節ごとの新商品を開発
    Price(価格) ・高級志向の価格設定・上質なイメージ
    Place(場所) 専門店を展開することでブランドイメージを確立(2013年にショップ事業は終了)
    Promotion(宣伝・促進) CMやSNSのインフルエンサーマーケティングを活用してブランドイメージを高めた

    ハーゲンダッツのマーケティング戦略は、高級感の演出に特化したものといえます。高級感を演出することで消費者に満足感を提供し、競合他社とは異なる独自の地位を築くことに成功した事例です。

    成功事例を参考に適切なマーケティング戦略を立案(まとめ)

    【ウェビナー資料より|株式会社koujitsu】

     

    本記事ではマーケティング戦略の概要と実施手順を紹介し、さらに10の成功事例を紹介しました。

    成功事例を参考にすることで、マーケティング戦略のイメージが捉えられたのではないでしょうか。

    また、マーケティング戦略を立案する際には、戦略に適したフレームワークを使用することで時間を大幅に短縮でき、チーム内での情報共有にも役立ちます。

    ただし、マーケティングを成功させるには、立案や実行だけでなく常に改善を続けなければなりません。

    ぜひ、記事内で紹介した成功事例を参考に、自社の商品やサービスのアプローチ方法を考えてみてください。

    マーケティング戦略の立案や実施に関するご相談は、株式会社koujitsuまでお気軽にお問い合わせください

    【資料】マーケティング戦略策定の進め方

    この資料でこんなことがわかります


    • koujitsuが実践するマーケティング戦略策定の進め方

    • 戦略策定フェーズのアウトプットのイメージ

    • 戦略策定フェーズのタイムライン



    早坂遊羽

    株式会社koujitsu 取締役 COO


    京都大学卒業後、大手SIerにてITコンサルタントとして従事。官公庁や大手民間企業のプロジェクトにおいてメンバーとして関わる中で、よりハンズオンの支援に携わりたいと考えるようになる。その後PRコンサルタント、事業会社広報、人材事業立ち上げを経てkoujitsuへ参画。現職ではマーケティング事業部を統括しながら、プレイヤーとしてクライアントのマーケティング戦略企画・実務運用にも携わっている。

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