デジタル時代において、SEO（検索エンジン最適化）は企業のオンラインプレゼンスを高める上で欠かせない戦略となっています。

本記事では、SEOの基本概念から具体的な設計プロセスまで詳しく解説します。Google検索エンジンの仕組みを理解し、効果的なコンテンツSEO、内部対策、外部対策の方法を学びましょう。

これらの知識を活用することで自社サイトの検索順位を向上させ、オーガニックトラフィックを増加させる戦略が実行できます。

SEOとは？

SEO（Search Engine Optimization）は「検索エンジン最適化」と訳され、検索エンジンの検索結果ページで上位に表示されることを目指すマーケティング手法です。具体的には、以下のように定義されます。

• 検索エンジンが理解しやすい内容にする
• 検索結果に表示させることで、自分が伝えたい情報をユーザーにきちんと届けること
• 検索エンジンからの自然検索アクセスを増やすために、Webサイトの改善を行う施策

SEOは単に検索順位を上げるだけでなく、ユーザー体験の向上も目的としています。検索結果ページの2ページ目以降のクリック率は1%〜2%と非常に低いため、1ページ目に表示されることが重要です。

SEO対策＝Google対策とは？

日本における検索エンジンのシェアは、Googleが約77%を占めており、次いでYahoo!が14%、Bingが8%です（2020年データ）。このため、日本でのSEO対策は実質的にGoogle対策を意味します。

Google検索エンジンの仕組み

Google検索エンジンの仕組みは、おもに以下の3つのステップで構成されています。

1. クロール（情報を探す）
   Googleのボット（クローラー）が世界中のWebサイトを巡回し、情報を収集します。クローラーはリンクを辿りながら、新しいページや更新されたページを発見します。
2. インデックス（情報を登録する）
   収集した情報をGoogleのデータベースに登録（インデックス）します。このプロセスでは、各ページの内容、リンク、カテゴリなどがデータベースに保存されます。インデックスされることで、初めて検索結果に表示されるようになります。
3. ランキング（情報の順位付けをする）
   GoogleのアルゴリズムにもとづいてWebページを分析し、検索結果を決定。ランキングの決定にはさまざまな要素が影響し、ユーザーの検索意図に最も適したページが上位に表示されます。

Googleのアルゴリズムと重要な要素

Googleのアルゴリズムには多くの要素がありますが、主要なものとして以下が挙げられます。

• 検索意図の把握：ユーザーが何を求めているのかを理解し、その意図に沿ったコンテンツを提供すること。
• 検索キーワードとWebページとの関連性：適切なキーワードを使用し、ユーザーの検索意図に合致する内容を提供すること。
• コンテンツの品質：情報の正確性、有用性、オリジナリティを高め、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作成すること。
• ユーザビリティ：ページの読み込み速度、モバイル対応、ナビゲーションの使いやすさなど、ユーザー体験を向上させること。
• 文脈の考慮：ページ内外のリンク、関連性の高いコンテンツとのつながりなど、文脈を重視した構成を取ること。

SEO対策の種類

SEO対策は、大きく分けて「コンテンツSEO」「内部対策」「外部対策」の3種類があります。それぞれの対策が連携し合うことで、効果的なSEOが実現します。

コンテンツSEO

コンテンツSEOとは、「ユーザーの検索意図に合った良質なコンテンツを発信し、自然検索から集客の増加を目指すSEOの一つ」です。具体的には以下のような特徴があります。

• ユーザーの検索意図（ニーズ）を分析：ユーザーが何を求めて検索するのかを理解し、そのニーズに応えるコンテンツを提供
• キーワードや共起語の選定：主要キーワードだけでなく、それに関連する共起語も選定し、コンテンツに反映
• ユーザーの疑問に答えるコンテンツ作成：ユーザーが抱える疑問や問題を解決する情報を提供することで、信頼性を高める
• 効果測定とリライトによる継続的な改善：コンテンツのパフォーマンスを定期的に分析し、必要に応じて修正・更新を行う

コンテンツSEOのメリット

• 検索エンジンからの自然な流入増加
• ブランド価値の向上
• SNSでの拡散可能性

検索意図の分析・評価

検索意図の分析・評価は、SEOにおける重要なプロセスです。Googleが提唱する4つの検索意図（Know KW、Go KW、Do KW、Buy KW）を理解し、それに応じたコンテンツを提供することで、ユーザー満足度を高め、検索エンジンでの評価を向上させることができます。

検索意図の4分類

Googleが提唱する4つの検索意図は以下のとおりです。

1. Know クエリ (知識欲求型)
2. Go クエリ (行動意欲型)
3. Do クエリ (実行意欲型)
4. Buy クエリ (購買意欲型)

1. Know クエリ (知識欲求型)

定義： 特定の情報を知りたい、調べたいという意図を持つクエリ
例： 「SEOとは」「検索エンジンの仕組み」

分析方法

• 検索結果の上位ページを確認し、どのような情報が提供されているかを分析
• 関連する検索キーワードやサジェストキーワードを確認し、ユーザーの情報ニーズを把握

2. Go クエリ (行動意欲型)

定義： 特定のウェブサイトやページにアクセスしたい意図を持つクエリ
例： 「Facebook ログイン」「Amazon トップページ」

分析方法

• 検索結果の上位に特定のブランドや企業のサイトが表示されているか確認
• 特定サイトへの誘導が強いかどうか評価

3. Do クエリ (実行意欲型)

定義： 何かを実行したい、行動を起こしたいという意図を持つクエリ
例： 「ホテル 予約」「アプリ ダウンロード」

分析方法

• 検索結果に行動を促す要素（予約ボタン、ダウンロードリンクなど）があるか確認
• ユーザーの具体的な行動目的を推測し、それに合致するコンテンツが提供されているか評価

4. Buy クエリ (購買意欲型)

定義： 商品やサービスを購入したいという意図を持つクエリ
例： 「スマートフォン 購入」「ノートPC 比較」

分析方法

• 検索結果に商品リストや価格比較サイトが表示されているか確認
• 購買段階（情報収集、比較検討、購入決定）を推測し、それに適したコンテンツが提供されているか評価

競合他社の調査とインサイトの整理

競合他社の調査は、以下の手順で行います。

1. 上位表示されている競合サイトを特定
   • 主要なキーワードで検索を行い、検索結果の上位に表示されるサイトをリストアップ
2. サイトのタイトル、見出し、コンテンツ構成を分析
   • 各サイトのタイトルタグや見出しタグ（h1、h2、h3など）を確認し、どのようなキーワードが使用されているかを分析
   • コンテンツの長さ、画像や動画の使用状況、更新頻度なども調査
3. 使用されているキーワードや共起語をリストアップ
   • 競合サイトが使用している主要なキーワードと、それに関連する共起語を洗い出す

効果的なタイトルと見出しの作成

タイトルは記事のクリック率（CTR）に直結するため、以下のポイントを押さえて作成しましょう。

• 32文字以内を目安に
  • 短く簡潔にメインキーワードを含める
• メインキーワードを含める
  • ユーザーが検索する際に入力するであろうキーワードを含める
• 数字を使用して具体性を高める
  • 「トップ10のSEO対策」など、数字を使って具体的にすることでユーザーの興味を引く
• ユーザーベネフィットを明確に示す
  • タイトルだけでユーザーが記事を読むことで得られる利益がわかるようにする

見出しの作成

見出しはコンテンツの構造をわかりやすくするために重要です。

• h1タグはタイトルと同様か類似の内容で
  • h1タグには記事のタイトルと同じか、それに類似した内容を記載
• h2〜h6タグで階層構造を作る
  • 見出しタグを使って記事のセクションを明確に区分し、階層構造を作成
• 各見出しは32文字程度を目安に
  • 短く簡潔に、キーワードを自然に組み込む
• キーワードを自然に組み込む
  • 見出しにキーワードを含めつつ、自然な文章になるように注意

ライター採用

コンテンツSEOの一環として、ライターに依頼して記事を作成してもらう方法もあります。

ライターに記事作成を依頼する際は、以下のポイントを考慮しましょう。

文字単価の設定

文字単価はライターの経験レベルや業界標準に応じて設定します。

• 初心者ライター：1円/文字程度
• 中堅ライター：3円/文字以上
• 経験豊富なライター：5円/文字以上

テストライティング

実際の案件に近いテーマで500〜1000文字程度の記事を依頼し、以下の点を評価します。

• 文章力：文法や表現の適切さ
• 理解力：テーマに対する理解度
• 締め切り遵守能力：指定された期限を守る能力

コミュニケーション

ライターとのコミュニケーションも重要な評価ポイントです。

• レスポンスの速さと質：質問に対する迅速かつ明確な回答
• 指示の理解度：指示内容を正確に理解しているか
• 質問の仕方：疑問点を適切に質問できるか

納品スピード

納品スピードもライター選定の重要な要素です。

• 1000文字あたり1～2日程度が一般的
• 緊急案件への対応力も確認

校正ツール

作成した記事は以下のツールで校正を行い、品質を保ちましょう。

コピペチェック

記事が他のコンテンツをコピーしていないことを確認するために以下のツールを使用しましょう。

• 無料ツール：「こぴらん」「CopyContentDetector」「剽窃チェッカー」
• 有料ツール：「COPIPERIN」

校正支援ツール

文章の誤字脱字や表現の適切さをチェックするために以下のツールを使用しましょう。

• 無料ツール：「so-zou.jp」「Shodo」
• 有料ツール：「Just Right!」「文賢」「AI editor」

内部対策

内部対策は、サイトやページのクロールを早めてもらうために行う施策のことです。おもな内部対策には以下のようなものがあります。

クローラーの巡回を促す対策

• XMLサイトマップの作成：検索エンジンがサイト全体を把握しやすくするためのマップを作成
• 内部リンクの最適化：サイト内のリンク構造を整備し、クローラーが効率的に巡回できるようにする
• パンくずリストの設置：ユーザーとクローラーの両方にとってサイトの構造を理解しやすくする

検索エンジンに内容を正しく伝達する対策

• タイトルタグの最適化：ページの内容を的確に表現し、検索結果でのクリック率を向上させる
• メタディスクリプションの設定：ページの概要を簡潔に説明し、検索結果での見栄えを良くする
• 見出しタグ（h1, h2, h3）の適切な使用：ページの構造を明確にし、検索エンジンに内容を理解させやすくする

ユーザビリティを担保する対策

• ページ表示速度の改善：読み込み速度を速くし、ユーザーのストレスを軽減
• モバイルフレンドリー対応：モバイル端末でも快適に閲覧できるようにサイトを最適化
• コンテンツの質と量の向上：情報の充実を図り、ユーザーに価値あるコンテンツを提供

外部対策

おもな外部対策には以下のようなものがあります。

被リンク対策

• 質の高いコンテンツ作成による被リンクの獲得：他サイトから自然にリンクされるような価値あるコンテンツを作成
• プレスリリースの配信：新製品やサービスの情報をプレスリリースとして配信し、リンクを獲得
• ゲスト投稿やインタビュー記事の掲載：他サイトに記事を寄稿し、リンクを得る

サイテーション対策

• SNSでの企業名や自社サイト、商品・サービスについての言及増加：SNSでの言及を増やし、ブランド認知度を高める
• さまざまな媒体での広告による認知度向上：多様な広告手段を用いて、ブランドの露出を増やす

ソーシャルシグナル対策

• SNSでのシェア数や「いいね」数の増加：SNSでの活動を活発にし、ソーシャルシグナルを強化
• ソーシャルメディア上での活発な活動：SNS上で積極的にコミュニケーションを取り、フォロワーとの関係を深める

外部対策の注意点

 外部対策は効果が高い反面、Googleによるペナルティのリスクもあります。そのため、自然な形での外部評価獲得が重要です。

まとめ

SEOは検索エンジンの結果ページで上位表示を目指すマーケティング手法です。SEO対策はコンテンツSEO、内部対策、外部対策の3種類があり、それぞれが連携して効果を発揮します。

コンテンツSEOではユーザーの検索意図を分析し、質の高いコンテンツを作成。内部対策では、サイト構造の最適化やメタタグの設定を行い、外部対策では被リンクやソーシャルシグナルの獲得を目指します。効果的なSEO設計には、競合分析、キーワード選定、タイトル・見出しの最適化が重要です。また、ライター採用や校正ツールの使用も、質の高いコンテンツ作成に不可欠です。

早坂遊羽

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株式会社koujitsu 取締役 COO

京都大学卒業後、大手SIerにてITコンサルタントとして従事。官公庁や大手民間企業のプロジェクトにおいてメンバーとして関わる中で、よりハンズオンの支援に携わりたいと考えるようになる。その後PRコンサルタント、事業会社広報、人材事業立ち上げを経てkoujitsuへ参画。現職ではマーケティング事業部を統括しながら、プレイヤーとしてクライアントのマーケティング戦略企画・実務運用にも携わっている。