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【2023年最新】ユーザーインサイトとは? 解析方法や注意点を紹介

2023.08.27更新

ユーザーインサイトは、マーケティング担当者やサイト運営者にとって重要な観点です。ユーザーインサイトを発掘するための調査方法やツール、発掘する際の注意点などを例を交えて解説します。 ユーザーインサイト(UserInsigh […]

ユーザーインサイトは、マーケティング担当者やサイト運営者にとって重要な観点です。ユーザーインサイトを発掘するための調査方法やツール、発掘する際の注意点などを例を交えて解説します。

ユーザーインサイト(UserInsight)とは?

ユーザーの隠れた心理のことをユーザーインサイトといいます。インサイト(insight)は、「洞察力」や「物事の本質を見抜くこと」を意味する名詞です。マーケティングでは「本人も気付いていない心理」のことをインサイトといいます。

 

例えば、明確な理由をもって商品を購入するユーザーもいれば、なんとなく買ったというユーザーもいるでしょう。その「なんとなく」の裏側にある、本人にもわからない理由がインサイトです。

 

インサイトと混同されやすい言葉に「潜在ニーズ」があります。潜在ニーズは欲求に気付いていない状態を指しますが、インサイトはまだ欲求になっていない状態をいいます。前述の例で説明すると、「なぜ買ったのか」と問われれば理由を答えられるのが潜在ニーズ、問われても答えられないのがインサイトです。

 

【コーヒーと一緒に「なんとなく」クッキーを購入した例】

顕在ニーズ コーヒーが飲みたい
潜在ニーズ コーヒーを飲んで眠気を覚ましたい
インサイト なぜクッキーを買ったのかわからない

 

重要性

ユーザーインサイトを反映させることで、消費者起点の商品開発やユーザー本位のWebサイト作成が可能になります。言い換えると、ヒット商品を生み出す、人気のサイトになるなどの効果が見込まれるということです。そのため、ユーザーインサイトの把握はマーケティング担当者やサイト運営者にとって非常に重要です。

 

例えばユーザーインサイトをサイトに反映させると、ユーザーは欲しい情報を得やすくなります。情報を必要としているユーザーに情報が届くことで、コンバージョン(ユーザーが商品購入や資料請求などの行動を起こすこと。以下CVと略する)の増加も期待できます。

 

【ユーザーインサイトを反映させたことによりCVが増加した事例】

現状 記事の冒頭直後で離脱が多発
仮説 内容をテキストのみで表現しているため、わかりにくいのではないか
対策 漫画コンテンツを追加
結果 冒頭直後の離脱が減少し、CVが1.5倍改善

目的

ユーザーインサイトを把握する主な目的は次の3つです。

 

・顧客のニーズを満たす商品やサービスをつくる

・競合他社との差別化を図る

・効果的なマーケティング戦略を立てる

 

以下、各目的に関する効果と具体例を紹介します。

 

【顧客のニーズを満たす商品やサービスをつくる】

顧客の心の奥底にある心理を突き止めることで、既存の商品やサービスの見直しが可能です。例えば女性の来店数が頭打ちになっている飲食店の場合、その原因として「一人で食事をしたくない」という仮説を立てることができます。しかし顧客インタビューを実施してユーザーインサイトを探った結果、「一人で飲食店に入るのを見られたくない」という心理が働いていることが判明しました。この場合、飲食店の場所を地下や2階にするといった対策を講じることができます。

 

【競合他社との差別化を図る】

ユーザーインサイトを基に商品開発を行うことで、他社と異なるアプローチが可能になります。例えば30代をターゲット層とするITツールを販売していた企業が、ユーザーインサイトを把握したことで60代からのニーズにいち早く気付き商品開発を行った場合、市場で有利な立場を確立できました。

 

【効果的なマーケティング戦略を立てる】

ユーザーインサイトにアプローチする戦略を立てることで、集客や売り上げの向上が期待できます。例えば、サイトに関連記事や関連商品を表示させるという戦術があります。この戦術は、リモートワーク用の家具をなんとなく調べていたユーザーがワーケーションに関する記事を目にした結果、衝動的にワーケーションの宿泊プランを予約するというようなケースに有効です。

ユーザーインサイトの使い方

ユーザーインサイトを反映させることで効果が期待できる使用場面を2つ紹介します。

顧客の分析

現代は高品質かつ低価格な商品やサービスが数多く存在しています。そのため顧客の購買意欲を刺激するには、商品やサービスにユーザーインサイトを反映させることが重要です。これにより競合他社との差別化がしやすくなる、集客につながる、ヒット商品を生み出しやすくなる効果が期待できます。

 

ユーザーインサイトは、顧客の分析を通して発掘することができます。ただし、顧客の属性(年齢や性別、居住地など)や購入履歴といった定量データのみでインサイトを理解することは難しいため、インタビュー調査などで入手した定性データを併用します。

ユーザーアクセスの分析

アクセス解析ツールやヒートマップツールを用いて、アクセス数やPV数(ページが閲覧された回数)、CVR(コンバージョン率)、属性などを分析することで、サイトの改善点が見つかりやすくなります。このようなデータを基にユーザーインサイトを推測して反映させていくことで、集客やブランディングなどのサイトの目標を達成しやすくなります。

ユーザーインサイトの調査方法

ユーザーインサイトを見つけるための調査方法を4つ紹介します。

アクセス解析ツールでの解析

Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを活用する方法です。ユーザーの行動や属性など、ユーザーインサイトの分析や検証に必要な情報を定量的に把握できます。

ヒートマップ分析

ヒートマップツールを活用する方法です。ユーザーのページ内の行動をヒートマップツールで視覚的に確認することにより、特定ページ内のユーザーインサイトを探ることができます。

定性分析

インタビューやフィールドワークなどの定性調査を実施する方法です。仮説を立てたうえで最適な調査を設計し、ユーザーの意見や感想、行動などの情報を収集します。ユーザーインサイトの発見につながるダイレクトな情報を収集することができます。

キーワード分析

検索エンジンで検索されているキーワードを基にしてユーザーインサイトを探る方法です。サジェストキーワード(検索窓にキーワードを入力した際に表示されるキーワード候補。よく検索されているキーワードが候補として表示される)からユーザーのニーズを調査して、ユーザーインサイトを探ります。検索窓にキーワードを入力してサジェストキーワードを確認することもできますが、ラッコキーワードなどのキーワード分析ツールを使用するほうが効率的です。

ユーザーインサイトの改善方法

ここでは、ユーザーインサイトを基にサイトを改善する方法を紹介します。

 

ユーザーは明確な目的をもってサイトにアクセスすることもありますが、なんとなく検索してページ移動を繰り返した結果、CVに至るケースもあります。CVRを上げるためには、ユーザーが必要としている情報を適切なページや位置に配置するなど、質の高いユーザー体験(UX:user experience)を提供することが重要です。一方、UXを考慮していないサイトでは早期に離脱される可能性が高まります。

 

ユーザーのサイト上の行動は潜在意識が影響することが多いといわれています。つまりユーザーのサイト上の行動を把握してユーザーインサイトを発掘し、それをサイトに反映させることで、ユーザーの無意識の欲求に対応することができるということです。

ユーザーインサイトの活用方法

前項で取り上げた「UX」に焦点を当てて、ユーザーインサイトの活用方法を紹介します。

 

UXを理解するための観点は次の3つです。

 

・ビジュアルデザイン

・ユーザーインターフェース(UI)

・UXの見直し

 

質の高いUXを提供するためには、ユーザーの行動や背景を理解して、潜在ニーズやインサイトを発掘して反映させることが重要です。以下、各観点とその具体例について解説します。

 

【ビジュアルデザイン】

UXに影響を与える要素の1つです。ユーザーの行動や気持ちに適したデザインにします。

 

【UI】

ユーザーとコンピューターとの間で情報をやり取りするための機器や入力装置のことをUIといいます。例えば、マウスやキーボード、ディスプレイ、ページのデザインやフォントなどがUIです。UIが洗練されていると、スムーズな情報のやり取りが可能になります。

 

UIはユーザーが機器を操作するときの「接点」、UXは接点を通して得られる「結果」です。そのため、UIはUXを起点として設計します。

 

【UXの見直し】

UXは時間の経過とともに魅力が薄れて低下することがあります。定期的に効果を測定して、UXを見直しましょう。

 

【具体例】

ユーザーからの感想 ある商品が必要になりECサイトにアクセスしたところ、ページがわかりやすく簡単に注文でき、さらに商品がすぐに届いたため喜んだ
ニーズやインサイト ビジュアルデザインやUIが良い、在庫がある、スムーズに決済の手続きができる、発送が早い、梱包が適切 など

 

ユーザーインサイトの注意点

ユーザーインサイトを発掘する際の注意点を3つ紹介します。

目的に合わせてツールを選択する

目的やターゲットを明確にして、それに応じた調査方法を選びましょう。調査方法は定量調査と定性調査とに大別されますが、一般的にユーザーインサイトの発掘には定性調査が用いられます。言い換えると、定量データのみでユーザーインサイトを見つけ出すことは難しいです。

 

・定量調査:人数や割合など、数で表すことができるデータを得る方法

・定性調査:個人の意見や行動など、数で表すことができないデータを得る方法

 

なお、先述した各分析方法の目的は次のとおりです。

 

目的 備考
アクセス解析 ユーザーの行動を分析する ユーザーの興味関心やページの改善点を推測することができる
ヒートマップ分析
定性分析 ユーザーのダイレクトな情報を集める ターゲット層を把握したうえで行うこと
キーワード分析 ユーザーが何を求めているのか類推する ツールを活用することで、世の中の事象とキーワードに対する関心の変化などを観察できる

データ分析できる人が解析する

収集した情報を扱いやすいように整理して、判断や意思決定に活用できる事実を導き出すことをデータ分析といいます。データ分析で答えを導き出すためには、次のような能力や知識が必要です。

 

・必要なデータを選定できる

・データの整理や加工ができる

・データ間の関連性やデータの傾向を見つけることができる

・データ分析の手法に関する知識や能力がある

 

データを分析できる人が分析を行い、導き出された事実の原因や理由を解明することで価値のある情報を得ることができます。

信頼できるデータを利用する

同じような条件のもとで同じ調査を行った場合に、同じような結果が得られるデータは信頼性が高い言えます。信頼できるデータを利用しなければ、判断や意思決定に活用できる事実を見つけ出すことはできません。

 

また、信頼できるデータであってもそこから把握できることとできないことがあります。先述の調査方法で入手したデータを扱う際には、以下の点に注意が必要です。

 

アクセス解析 正確なユーザー心理はわからない
ヒートマップ分析
定性分析 主観的になりやすく、受け取り方によって分析結果が異なることがある
キーワード分析 斬新な発想は生まれにくい

 

まとめ

ユーザーインサイトは潜在ニーズと異なり、本人から聞き出すことができません。しかし、ユーザーインサイトを商品やサービスに反映させることで新たな価値の提供が可能です。

 

ユーザーインサイトは「ヒートマップ分析」「定性調査」「キーワード分析」などで発掘したり、「アクセス解析」で効果を検証したりすることができます。特に、定性調査が多く活用されます。

このような調査方法は、調査の目的に応じて使い分ける必要があります。調査方法によって解明できることとできないことが異なるため、価値のあるデータを得るためには適切な方法を用いることが重要です。どのようなデータが必要なのか正確に判断しましょう。



早坂遊羽

株式会社koujitsu 取締役 COO


京都大学卒業後、大手SIerにてITコンサルタントとして従事。官公庁や大手民間企業のプロジェクトにおいてメンバーとして関わる中で、よりハンズオンの支援に携わりたいと考えるようになる。その後PRコンサルタント、事業会社広報、人材事業立ち上げを経てkoujitsuへ参画。現職ではマーケティング事業部を統括しながら、プレイヤーとしてクライアントのマーケティング戦略企画・実務運用にも携わっている。

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