
「新規事業のアイデアはあるものの、具体化の方法が分からない」「限られたリソースで失敗リスクを抑えたい」と感じている方に向けた記事です。新規事業開発では、フレームワークを効果的に活用することで、検討の抜け漏れを防ぎ、成功確 […]
「新規事業のアイデアはあるものの、具体化の方法が分からない」「限られたリソースで失敗リスクを抑えたい」と感じている方に向けた記事です。新規事業開発では、フレームワークを効果的に活用することで、検討の抜け漏れを防ぎ、成功確率を高められます。一方で、種類が多く選び方や使い方に迷うケースも少なくありません。
本記事では、新規事業担当者が押さえるべき主要フレームワークを厳選し、特徴や活用法、事例を分かりやすく解説します。さらに、事業フェーズに応じた選び方や組み合わせ方も紹介します。
新規事業フレームワークとは?その重要性
新規事業のフレームワークとは、新しい事業を立ち上げる際に、アイデア整理や課題分析、意思決定を体系的に進めるための思考の枠組みです。新規事業は不確実性が高く、属人的な判断や思いつきだけでは失敗のリスクが高まります。フレームワークを活用することで、検討漏れを防ぎ、仮説と検証を効率的に繰り返すことが可能になります。
また、関係者間で共通言語として機能し、議論や合意形成を円滑に進められる点も重要です。限られたリソースの中で成功確率を高めるために、新規事業においてフレームワークの活用は欠かせない要素といえるでしょう。
事業計画の立て方について、もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
主要な新規事業フレームワーク徹底解説
新規事業開発を効率的かつ効果的に進めるためには、適切なフレームワークの活用が不可欠です。ここでは、ビジネスの全体像を捉えるものから、顧客中心のアイデア創出、市場検証、目標管理まで、主要なフレームワークを具体的に解説します。
ビジネスモデルキャンバス:事業の全体像を可視化
ビジネスモデルキャンバスは、新規事業の全体像を一枚のシートに集約し、可視化するためのフレームワークです。事業を構成する9つの要素「顧客セグメント」「価値提案」「チャネル」「顧客との関係」「収益の流れ」「主要リソース」「主要活動」「主要パートナー」「コスト構造」を埋めていくことで、事業の構造を明確にし、関係者間で共通認識を持つことができます。
この手法は、大きな紙やホワイトボードにキャンバスを描き、付箋を使って各要素を書き出しながら事業構造を整理していくのが基本的な使い方です。要素同士のつながりを意識することで、事業全体の整合性を視覚的に確認できます。全体像を俯瞰しやすく、チームでの議論や共通理解を深めやすい点が大きなメリットです。
一方で、詳細な数値計画や変化への対応力には限界があります。新規事業のアイデア検討初期や事業の再設計、他社事例の分析などに適したフレームワークです。
ビジネスモデルキャンパスについて、もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ビジネスモデルキャンパスとは?事例を元に構成要素や書き方を解説!
リーンキャンバス:スタートアップに特化したビジネスモデル設計
リーンキャンバスは、ビジネスモデルキャンバスを基に、スタートアップの新規事業開発向けに最適化されたフレームワークです。「課題」や「ソリューション」「主要指標」「競合優位性」に重点を置くことで、不確実性の高い環境でも仮説検証を素早く進められます。
使い方は9つの項目を埋めながら、特に解決すべき課題と提供価値を明確にする点が特徴です。顧客課題に集中しやすい一方、大企業の既存事業では適用が難しい場合もあります。初期フェーズのスタートアップや社内新規事業で迅速に検証したい場面に適しています。
デザイン思考:顧客中心のアイデア創出
デザイン思考は、顧客視点を起点に課題解決を行う思考プロセスで、共感・問題定義・アイデア創出・プロトタイプ・テストの5段階を通じて解決策を導きます。ユーザー理解を深めながら試行錯誤を重ねることで、潜在ニーズに応える革新的な価値を生み出せる点が特徴です。
顧客中心で質の高いサービスを設計できる一方、時間やコストがかかる場合もあります。新規事業創出や既存サービス改善、顧客体験向上など幅広い場面で有効な手法です。
MVP(Minimum Viable Product):最小限の製品で市場検証
MVPは、最小限の機能で顧客に価値を届け、市場に投入して反応を確かめながら改善を重ねる開発手法です。核となる価値に絞って素早く形にすることで、開発リスクや手戻りを抑えられます。まず提供価値を明確にし、簡易な製品をユーザーに試してもらい、行動データや意見をもとに次の施策を判断します。
コストや期間を削減できる一方、価値が伝わりにくい場合もあります。不確実性の高い新規事業や新サービス立ち上げに適した手法です。
OKR(Objectives and Key Results):目標達成と事業成長の推進
OKRは、達成度を測る主要な結果を設定し、組織の目標と行動を一致させる目標管理フレームワークです。挑戦的な目標を共有することで、方向性の統一や主体的な行動を促します。
まず定性的な目標(Objective)を定め、達成度を示す定量的なKey Resultsを設定し、短いサイクルで進捗を確認します。目標管理を明確にできる一方、設定や運用が難しい面もあります。新規事業立ち上げ後の進捗管理やチームのモチベーション維持に有効です。
その他の注目フレームワーク
上記以外にも、新規事業開発を強力にサポートする様々なフレームワークが存在します。
| フレームワーク | 概要 | 主な目的・効果 |
| ペルソナ設定 | ターゲット顧客の架空の人物像を詳細に設定 | 顧客への理解を深め、チーム内での認識を統一する |
| カスタマージャーニーマップ | 顧客の購買・利用プロセスを時系列で可視化 | 感情や課題の変化を捉え、顧客体験(CX)を改善する |
| バリュープロポジションキャンバス | 顧客ニーズと自社提供価値の適合性を分析 | 「顧客が真に求める価値」と製品のズレを解消する |
これらのフレームワークは、単独で使うだけでなく、主要なフレームワークと組み合わせて活用することで、より多角的で深掘りした分析やアイデア創出が可能になります。例えば、デザイン思考の「共感」フェーズでペルソナ設定やカスタマージャーニーマップを活用し、顧客理解を深めることができます。
あなたの事業に合ったフレームワークの選び方
新規事業開発を成功に導くためには、数あるフレームワークの中から、あなたの事業フェーズや目的に最適なものを選ぶことが重要です。ここでは、効果的なフレームワーク選定のためのポイントと、複数のフレームワークを組み合わせるメリットについて解説します。
フレームワーク選定の3つのポイント
新規事業のフレームワークを選ぶ際には、以下の3つのポイントを考慮することで、より事業の成功確率を高めることができます。
事業フェーズの把握
新規事業は、アイデア創出、仮説検証、実行・成長といった複数のフェーズを経て進みます。例えば、アイデアを出す段階であればデザイン思考やペルソナ設定が有効であり、仮説を検証する段階であればリーンキャンバスやMVPが適しています。現在の事業がどのフェーズにあるのかを明確にし、そのフェーズに特化したフレームワークを選ぶことが重要です。
目指す目的の明確化
フレームワークを導入する目的は何でしょうか。顧客理解を深めたいのか、ビジネスモデルを具体化したいのか、それとも市場投入までのスピードを上げたいのか。
例えば、顧客の潜在ニーズを探るならデザイン思考、事業の全体像を素早く描きたいならビジネスモデルキャンバス、目標達成の進捗管理にはOKRといったように、目的に応じて最適なフレームワークは異なります。
利用可能なリソースの確認
新規事業開発にかけられる時間、予算、人材といったリソースも選定の重要な要素です。例えば、大規模なリサーチやワークショップが必要なデザイン思考は、時間と人材に余裕がある場合に適しています。一方、少人数でスピーディーに検証を進めたい場合は、リーンキャンバスやMVPのような、より簡潔なアプローチが有効となるでしょう。
複数のフレームワークを組み合わせるメリット
単一のフレームワークに固執するのではなく、複数のフレームワークを組み合わせることで、新規事業開発の各段階で相乗効果を生み出し、より包括的かつ効果的に事業を推進することが可能です。
例えば、以下のような連携が考えられます。
デザイン思考 × リーンキャンバス
まずデザイン思考で顧客の深い課題やニーズを探索し、革新的なアイデアを創出します。次に、そのアイデアをリーンキャンバスに落とし込み、ビジネスモデルの仮説を具体的に構築することで、顧客中心の視点を保ちつつ、事業としての実現可能性を高められます。
リーンキャンバス × MVP
リーンキャンバスで構築したビジネスモデルの仮説に基づき、MVP(Minimum Viable Product)を開発・提供します。これにより、最小限のコストと時間で市場からのフィードバックを得て、仮説の検証と改善を素早く繰り返すことが可能となり、失敗のリスクを低減しながら事業を成長させることができます。
ペルソナ設定 × カスタマージャーニーマップ × MVP
ペルソナ設定でターゲット顧客像を明確にし、カスタマージャーニーマップで顧客体験の全体像を可視化します。その後、その知見を活かしてMVPを開発することで、顧客にとって本当に価値のある製品やサービスを効率的に生み出すことができます。
このように、各フレームワークの強みを理解し、事業の進捗や目的に応じて柔軟に組み合わせることで、新規事業の成功確率を飛躍的に高めることができるでしょう。
フレームワークを活用した新規事業の成功事例
新規事業のアイデアを具体的な成功へと導くためには、フレームワークの活用が不可欠です。ここでは、実際にフレームワークを効果的に活用し、大きな成果を上げた企業の事例を2つご紹介します。これらの事例から、あなたの新規事業に活かせるヒントを見つけてみましょう。
事例1:Airbnbの場合
世界最大の宿泊予約プラットフォームであるAirbnbは、新規事業開発において「デザイン思考」と「MVP(Minimum Viable Product)」を巧みに組み合わせることで成功を収めました。
創業当初、Airbnbのアイデアは「自宅の空き部屋を貸し出す」というものでしたが、なかなかユーザーが増えませんでした。そこで彼らが実践したのは、顧客の課題を深く理解するデザイン思考です。創業者は自らユーザーの自宅を訪れ、宿泊体験を観察。写真の質が低いことで宿泊の魅力が伝わっていないことに気づきました。
この課題に対し、プロのカメラマンを雇って宿泊施設の写真を撮影するというMVPを投入。最小限の投資で「写真の質が向上すれば予約が増えるか」という仮説を検証し、見事に成功させました。この顧客中心のアプローチと迅速な検証が、現在の巨大なプラットフォームへと成長する礎となったのです。
事例2:Dropboxの場合
クラウドストレージサービスのDropboxは、「MVP(Minimum Viable Product)」と「カスタマージャーニーマップ」を効果的に活用し、市場への浸透に成功しました。
Dropboxの創業当時、競合は存在していましたが、ファイルの同期や共有がスムーズに行えるサービスはまだありませんでした。創業者であるドリュー・ヒューストンは、この「ファイル同期の煩わしさ」という顧客の潜在的な課題に着目。しかし、実際の製品開発には多大な時間とコストがかかるため、まずは詳細な製品デモ動画を作成し、公開するというMVP戦略をとりました。
この動画は、ユーザーがDropboxを使うことでどのような体験を得られるかを具体的に示し、数時間で数千人の登録者を獲得。この結果から、市場に確かなニーズがあることを確認し、本格的な開発へと移行しました。さらに、ユーザーがサービスをどのように発見し、登録し、利用していくかを可視化するカスタマージャーニーマップを活用することで、ユーザー体験の最適化を図り、競合との差別化に成功しました。
新規事業フレームワーク活用時の注意点と失敗しないための秘訣
新規事業開発においてフレームワークは強力なツールですが、ただ形式的に適用するだけでは成功には繋がりません。むしろ、使い方を誤ると、かえって事業の足かせとなることもあります。ここでは、新規事業開発で陥りやすい失敗パターンとその対策、そして実行フェーズで特に意識すべきポイントについて解説します。
よくある失敗パターンとその対策
フレームワークを活用する際に、多くの企業や担当者が陥りがちな失敗パターンがあります。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることで、失敗のリスクを大幅に低減できます。
フレームワークの盲信と目的の喪失
フレームワークはあくまで思考を整理し、仮説を立てるための「道具」です。しかし、フレームワークを埋めること自体が目的となり、本来の事業成功という目的を見失ってしまうケースがあります。「ビジネスモデルキャンバスを埋めたからOK」ではなく、なぜその項目を埋めるのか、それが事業の成功にどう繋がるのかを常に問い続ける必要があります。
対策: フレームワークはあくまで「仮説」を可視化するツールと捉え、常に「なぜ?」を問いかけ、本質的な課題解決に意識を向ける。
完璧主義に陥り、実行が遅れる
特に新規事業では、不確実性が高いため、「完璧な計画」を立てようとすると、いつまで経っても実行に移せません。全ての要素を埋め、全てのリスクを洗い出してからでないと動けないという完璧主義は、市場の変化に対応できない致命的な遅れを招きます。
対策: まずは「最小限の実行可能な計画(MVP)」を立て、素早く市場に投入し、フィードバックを得ながら改善するアジャイルな姿勢を持つ。
顧客視点の欠如
フレームワークを自社の都合の良いように埋めてしまい、肝心な顧客の課題やニーズ、体験が抜け落ちてしまうことがあります。どんなに素晴らしいビジネスモデルでも、顧客に価値が届かなければ意味がありません。
対策: ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップなどを活用し、常に顧客の目線に立って考える。定期的な顧客インタビューやアンケートで、生の声を取り入れる。
実行フェーズで意識すべきこと
フレームワークで仮説を立てた後は、実行と検証を通じて事業を育てていくことが重要です。まずはMVPの考え方を取り入れ、必要最小限の機能で小さく始め、素早く市場に投入します。これにより、コストや時間を抑えつつ仮説の妥当性を検証できます。次に、アンケートやインタビューなどを通じて顧客フィードバックを継続的に収集し、改善や方向性判断に活かします。
また、新規事業では計画通りに進まないことも多いため、データや顧客の声を基に柔軟に計画を修正する姿勢が欠かせません。変化を前提としたアジャイルな進め方が成功を支えます。
まとめ:フレームワークを武器に新規事業を成功させよう
本記事では、新規事業開発を成功に導く主要なフレームワークとして、ビジネスモデルキャンバス、リーンキャンバス、デザイン思考、MVP、OKRを解説しました。それぞれの特徴や活用場面を理解することで、事業アイデアを具体化し、効率的に検証する道筋が見えてきたはずです。
新規事業は不確実性が高い挑戦ですが、フレームワークを活用すれば、リスクを抑えながら成長を目指せます。重要なのは一つに固執せず、事業フェーズに応じて柔軟に組み合わせることです。顧客理解から検証、目標管理まで連携させることで相乗効果が生まれ、アイデアは確かな事業へと進化していきます。

koujitsu編集部
マーケティングを通して、わたしたちと関わったすべての方たちに「今日も好い日だった」と言われることを目指し日々仕事に取り組んでいます。




