新規事業を立ち上げる際、資金調達は最も大きな課題の一つです。自己資金や融資だけでなく、「補助金」や「助成金」を活用することで、初期費用の負担を軽減し、事業の成功率を高めることが可能です。しかし、多くの人が補助金や助成金の […]
新規事業を立ち上げる際、資金調達は最も大きな課題の一つです。自己資金や融資だけでなく、「補助金」や「助成金」を活用することで、初期費用の負担を軽減し、事業の成功率を高めることが可能です。しかし、多くの人が補助金や助成金の存在を知らなかったり、申請の複雑さに躊躇してしまうケースも少なくありません。本記事では、新規事業立ち上げに役立つ補助金・助成金について、選び方や申請方法、メリットや注意点などを詳しく解説します。
新規事業立ち上げに使える補助金・助成金9選
新規事業の立ち上げをサポートする補助金・助成金は、国や自治体が提供するさまざまなプログラムがあります。以下に、代表的な補助金・助成金をいくつか紹介します。
1.IT導入補助金
出典:IT導入補助金
注目ポイント
・正社員化支援:非正規雇用労働者を正社員に転換することで助成金を受け取ることができ、特に中小企業では最大80万円が支給されます。
・処遇改善支援: 賃金規定の改定や賞与制度の導入など、労働条件の改善を行った場合にも助成金が支給されます。
・生産性要件:企業の生産性が一定基準以上向上した場合、助成金額が増額される可能性があります。
※2024年11月時点
補助金紹介
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を支援する制度です。2024年度から、正社員化コースの助成金額が中小企業で80万円、大企業で60万円に増額されます。また、対象となる有期雇用労働者の要件が緩和され、6ヶ月以上の雇用で申請可能になります。さらに、生産性要件を満たすと助成金が増額される仕組みもあります
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | IT導入補助金2024 |
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URL | IT導入補助金 |
申請対象 | 中小企業・小規模事業者等 |
※2024年11月時点
2.キャリアアップ助成金
注目ポイント
・正社員化支援:
非正規雇用労働者を正社員に転換することで助成金を受け取ることができ、特に中小企業では最大80万円が支給されます。
・処遇改善支援:賃金規定の改定や賞与制度の導入など、労働条件の改善を行った場合にも助成金が支給されます。
・生産性要件:企業の生産性が一定基準以上向上した場合、助成金額が増額される可能性があります。
※2024年11月時点
補助金紹介
中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助する役割があります。補助金を支給することで業務効率化や売り上げアップをサポートします。
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | キャリアアップ助成金 |
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URL | キャリアアップ助成金|厚生労働省 |
申請対象 | キャリアアップ助成金は、有期契約や短時間労働、派遣労働者のキャリア向上を支援する企業
※ただし、過去3年以内に正規または無期雇用だった人や事業主の親族は対象外 |
※2024年11月時点
3.人材開発支援助成金
注目ポイント
・従業員の専門知識や技能習得のための訓練費用や賃金の一部を企業が負担しやすくする制度です。
・主に正社員を対象とし、労働者のキャリア形成の促進を目的としています。
・申請には、事業所が雇用保険適用事業所であることなど、特定の条件を満たす必要があります。
※2024年11月時点
補助金紹介
人材開発支援助成金は、企業が従業員の職業訓練を行う際、経費や賃金の一部を助成する制度です。正規雇用労働者が主な対象で、雇用保険の適用事業所などの条件があります。
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | 人材開発支援助成金 |
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URL | 人材開発支援助成金|厚生労働省 |
申請対象 | 正規雇用労働者であり、雇用保険の被保険者であること |
※2024年11月時点
4.中小企業省力化投資補助金
注目ポイント
・経済産業省の2024年補正予算で1,000億円が計上され、中小企業の生産性向上と人手不足解消を支援します。
・補助は従業員数に応じて最大1,500万円、一律50%が適用され、賃上げ要件達成で上限額が引き上げられます。
・対象は基準を満たす中小企業で、事前承認されたカタログから選ぶIoT、ロボット、AI等の省力化製品の導入が補助対象です。
※2024年11月時点
補助金紹介
中小企業省力化投資補助金は、中小企業の生産性向上や人手不足解消のため、省力化機器の導入費用を補助する制度です。補助額は従業員数や賃上げの有無に応じて変動し、最大で費用の半額が補助されます。
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | 中小企業省力化投資補助金 |
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URL | 「中小企業省力化投資補助事業」 |
申請対象 | ・人手不足の状態
・中小企業者の定義に当てはまること ・中小企業者(組合関連以外)、組合・法人関連、中小企業者、NPO法人・社会福祉法人が対象 |
※2024年11月時点
5.小規模事業者持続化補助金<一般型>
注目ポイント
・最大50万円の補助で販路開拓や生産性向上の経費を軽減できます。
・商工会議所や商工会の指導で経営計画を改善し、売上拡大を支援します。
・商工会との関係構築でビジネスに役立つ人脈を拡大できます。
※2024年11月時点
補助金紹介
小規模事業者持続化補助金は、意欲ある中小企業の成長を後押しする心強い支援制度です。販路開拓や業務効率化に取り組む事業者に対し、最大50万円の補助金を支給。商工会議所のサポートを受けながら、自社の経営戦略を見直し、新たな企業の挑戦を後押しします。
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | 小規模事業者持続化補助金<一般型> |
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URL | 「第16回小規模事業者持続化補助金<一般型>」 |
申請対象 | 基本条件は、日本国内の小規模事業者または個人事業主で、従業員数は業種により5人以下または20人以下。
追加要件として、資本金5億円未満、課税所得平均15億円以下、商工会議所管轄地域で営む事業。 |
※2024年11月時点
6.ものづくり補助金
出典:ものづくり補助金
注目ポイント
・最大8,000万円の補助が受けられ、補助率は中小企業で1/2、小規模事業者で2/3です。
・年間付加価値額を3%以上、給与総額を1.5%以上増加させる必要があります。
・申請枠には「省力化枠」や「高付加価値化枠」などがあり、各枠に特有の要件があります。
補助金紹介
ものづくり補助金は、日本の中小企業や小規模事業者が生産性向上のために設備投資を支援する制度です。補助金の上限は最大4,000万円で、中小企業は補助率1/2、小規模事業者は2/3です。
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | ものづくり補助金 |
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URL | ものづくり補助金 |
申請対象 | ・製造業・建設業:資本金3億円以下、または常勤従業員300人以下
・製造業・宿泊業・娯楽業:20人以下の会社・個人事業主 ・商業・サービス業:5人以下の会社・個人事業主 |
※2024年11月時点
7.事業承継引継ぎ補助金
出典:事業承継・引継ぎ補助金
注目ポイント
・経営革新事業、専門家活用事業、廃業・再チャレンジ事業があり、それぞれ要件と補助率が設定されています。
・電子申請が必須で、gBizIDプライムアカウントの取得が必要です。
・経営革新や事業再編を伴う取り組みを支援し、経済活性化を目指しています。
補助金紹介
事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業や小規模事業者の事業承継を支援する制度で、親子間の承継も対象です。補助金は「経営革新枠」「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」の3つに分かれ、設備投資や販路開拓費が補助されます。申請は「jGrants」を通じて行い、gBizIDの取得が必要です。
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | 事業承継引継ぎ補助金 |
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URL | 事業承継・引継ぎ補助金 |
申請対象 | 日本国内に拠点または居住地があり国内で事業を営む者
地域経済に貢献している中小企業者 |
※2024年11月時点
8.事業再構築補助金
出典:事業再構築補助金
注目ポイント
・返済不要で、企業が新規事業を展開する際の初期費用を大幅に抑えることができます。
・最大1.5億円の補助金が受け取れるため、思い切った設備投資や事業再編が可能です。
・認定支援機関のサポートを受けて、事業計画をブラッシュアップできるため、事業内容の改善が図れます。
補助金紹介
事業再構築補助金は、中小企業や中堅企業が新分野展開や業態転換を行う際の費用を支援する制度です。補助金額は従業員数に応じ、最大5億円まで支給されます。申請にはGビズIDプライムが必要で、事業計画は認定経営革新支援機関の確認が必要です。
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | 事業再構築補助金 |
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URL | 事業再構築補助金 |
申請対象 | ・中堅企業、中小企業、小規模事業者(個人事業主を含)
・申請前の直近6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の売上がコロナ以前の同期間と比べて10%以上減少していることが必要 ・経済産業省の「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関と策定すること |
※2024年11月時点
9.業務改善助成金
注目ポイント
・設備投資やシステム導入で業務効率が向上し、賃金引き上げに対する補助で経済的負担が軽減されます。
・賃金引き上げ後の申請が可能で、手続きが簡略化され、迅速に申請できます。
・多くの事業所が対象となり、賃金水準に応じた高い助成率が設定されています。
※2024年11月時点
補助金紹介
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援する制度で、最低賃金引き上げや設備投資、人材育成を行った場合に、その費用の一部が助成されます。助成額は賃上げ額や労働者数によって異なり、最大600万円まで支給されることがあります。
※2024年11月時点
会社の基本情報
補助金名 | 業務改善助成金 |
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URL | 業務改善助成金|厚生労働省 |
申請対象 | ・業種ごとに資本金や常時使用する労働者数の基準を満たす必要あり
・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること ・ 解雇や賃金引き下げなど、助成金が不交付となる理由がないこと |
※2024年11月時点
新規事業で使える補助金・助成金とは
新規事業を立ち上げる際、自己資金や融資以外にも活用できる選択肢として、「補助金」や「助成金」があります。これらは、国や自治体が提供する資金支援で、事業の初期コストを抑えたり、新たな取り組みを後押ししたりするために欠かせない手段です。しかし、これらを活用するには、それぞれの特性や違いを理解しておくことが必要です。
補助金と助成金の違い
「補助金」と「助成金」は一見似ていますが、仕組みや利用条件には違いがあります。
補助金は、国や自治体が公募するもので、事業者が一定の条件を満たし、審査を通過することで受給可能になります。一方で、助成金は条件を満たせば基本的に受給可能な資金で、例えば、キャリアアップ助成金などが該当します。助成金は、比較的簡単に申請できることが多いですが、補助金に比べて支給金額は小さい傾向にあります。
補助金と助成金の違いを理解し、自社の事業計画や目的に応じて適切な選択をすることで、新規事業をスムーズに進めることができます。
新規事業立ち上げに補助金・助成金を使うメリット
新規事業を立ち上げる際、補助金や助成金を活用することには多くのメリットがあります。これらの資金支援を正しく利用することで、事業の成長を加速させることが可能です。
補助金・助成金は返済が不要になる
最大のメリットは、補助金や助成金が返済不要である点です。融資とは異なり、受給した資金は返済義務がないため、財務的な負担を増やすことなく事業を推進できます。特に、立ち上げ初期のキャッシュフローを確保する上で、大きな助けとなります。
事業計画を見直す機会になる
補助金や助成金の申請には、事業計画の詳細な提出が求められることが一般的です。このプロセスは、自社の計画を再評価し、具体的な戦略や目標を再確認する良い機会となります。さらに、審査基準に合わせた計画を練ることで、より現実的かつ実行可能な事業計画を策定できます。
国や自治体が何を求めているか分かる
補助金や助成金の審査基準を研究することで、国や自治体が支援したい分野や課題が明確に見えてきます。これにより、事業を社会のニーズに合致させ、より高い評価を得る可能性が高まります。結果として、自社の方向性をより適切に調整することが可能です。
新規事業で補助金・助成金を使う時の3つの注意点
補助金や助成金は新規事業の強力な支援策ですが、活用にはいくつかの注意点があります。事前にこれらのポイントを理解し、計画的に進めることが大切です。
1.受給できない場合がある
補助金や助成金は、申請すれば必ず受け取れるわけではありません。特に補助金は競争率が高く、採択率が低い場合もあります。また、申請時の条件を満たしていなかったり、提出書類に不備があると受給できないリスクもあります。審査基準をしっかり把握し、十分な準備を行うことが不可欠です。
2.申請には多少の手間がかかる
補助金や助成金の申請には、詳細な事業計画書や予算計画の作成が必要です。また、自治体や国の指示に従った書式で提出する必要があり、専門知識が求められる場合もあります。申請プロセスが複雑であるため、時間と労力を要することを想定しておきましょう。場合によっては、専門家やコンサルタントの力を借りるのも一つの方法です。
3.受給するまでに時間がかかる
補助金や助成金の受給までには一定の期間がかかります。申請後の審査や手続きに数か月を要する場合があり、資金をすぐに必要とする場面ではタイミングが合わないことも考えられます。そのため、資金計画を立てる際には、受給時期を考慮したスケジュールを組むことが重要です。
補助金・助成金の申請方法
補助金・助成金を効果的に活用するには、適切な申請手順を踏むことが大切です。以下は補助金、助成金の申請方法の手順です。
- 情報収集
まずは、国や自治体の公式ウェブサイトや商工会議所を活用し、自社の事業に適した補助金や助成金を探します。 - 条件の確認
各補助金・助成金の対象条件や必要書類を確認します。要件を満たさない場合、申請しても受給できないため、事前確認が欠かせません。 - 書類作成
事業計画書や予算見積書を具体的かつ正確に作成します。審査員が理解しやすい内容を心がけましょう。 - 提出とフォローアップ
指定の方法で書類を提出し、提出後も必要に応じて追加資料の提出や問い合わせに対応します。
これらの手順を実行することで、受給の可能性を高められます。
まとめ
補助金や助成金は、新規事業の立ち上げにおいて非常に有効な手段です。返済の負担がない点や事業計画を見直す機会になる点で、多くのメリットがあります。しかし、申請には手間や時間がかかるため、注意点を理解し、計画的に取り組むことが成功へのポイントとなります。本記事を参考に、適切な補助金・助成金を選び、事業を加速させてください。