マーケティングペルソナは、ターゲット顧客の具体的なプロフィールを作成し、マーケティング戦略を顧客のニーズや行動に基づいて最適化するための重要なツールです。この記事では、ペルソナの定義から、その作成方法、実際の応用、成功事 […]
マーケティングペルソナは、ターゲット顧客の具体的なプロフィールを作成し、マーケティング戦略を顧客のニーズや行動に基づいて最適化するための重要なツールです。この記事では、ペルソナの定義から、その作成方法、実際の応用、成功事例までを詳しく解説します。
マーケティングにおける「ペルソナ」の意味とは ペルソナとは、自社の商品・サービスを購入・利用してもらいたい顧客個人を、性格・家族構成・職業・ライフスタイルなどを具体的に描いたものです。マーケティングにおいて、目的に合った […]
マーケティングにおける「ペルソナ」の意味とは
ペルソナとは、自社の商品・サービスを購入・利用してもらいたい顧客個人を、性格・家族構成・職業・ライフスタイルなどを具体的に描いたものです。マーケティングにおいて、目的に合った「ペルソナ」を設定することは、施策などの成功の鍵を握っています。
「ペルソナ」と「ターゲット」との違い
「ターゲット」は性別や年代など、特定の集団を設定したもの「群」であり、「ペルソナ」は人格・ライフスタイルまで明確にした「個人」を設定したものです。
「ターゲット」は商品・サービスの購入・利用をしている中でも、典型的な顧客層をまとめたものでリアルに実在している必要があります。しかし、「ペルソナ」は架空の人物を設定可能なため、新規立ち上げ時には「ペルソナ」を設定されています。
「ペルソナ」を設定する目的
「ペルソナ」を明確に設定することで、企画開発から販売促進に至るまで、一貫したマーケティングを実施することができます。また、顧客視点のマーケティングを行うことが可能になるため、顧客のニーズに合った施策を打ち出すことに繋がります。
ペルソナマーケティングはもう古い?
AIの進化により、「ペルソナマーケティングは時代遅れ」という声も聞かれます。確かにAIが分析して個人に合った広告を表示するようになり、時間をかけたペルソナ設定に否定的な声も出ています。
しかし、AIはおすすめは表示してくれますが、ペルソナの根本である「どんな人に購入・利用してほしいのか」という観点でまだまだ弱いのが現実です。そのため、時間をかけてペルソナを設定することは、マーケティングにおいて時代に合っていないわけではありません。
ペルソナ活用のメリット
マーケティングやプロダクト開発において、ペルソナを活用することで、顧客のニーズや行動をより的確に把握し、効果的な施策を展開することが可能です。以下に、ペルソナ活用の具体的なメリットを解説します。
1. 顧客理解の深化
ペルソナを作成することによって、企業は顧客をより深く理解することができます。一般的なデータや属性情報だけではなく、顧客の生活背景、趣味嗜好、購買行動の動機、課題などの詳細を描き出すことで、ターゲット顧客像が具体化します。これにより、どのような価値が提供できるのか、顧客が抱える問題は何かといった視点でのマーケティング戦略が可能となります。
例えば、BtoBビジネスにおいて、意思決定者だけでなく、そのプロセスに関与する他の役職者のニーズや関心を深く理解することは、より適切な提案やアプローチにつながります。顧客を深く理解することで、適切なタイミングで適切なコミュニケーションが取れ、関係構築の質が高まります。
2. マーケティング戦略の精度向上
ペルソナを活用することで、マーケティング施策の精度が大幅に向上します。ペルソナによって明確になったターゲットのニーズや行動を基に、適切なチャネルやメッセージングを選定できるため、無駄な広告費用を削減し、リソースを効率的に配分できます。
たとえば、ペルソナがソーシャルメディアで情報を収集し、購買行動に影響を受けるタイプであれば、そのペルソナに向けたソーシャルメディア広告やコンテンツ配信に注力することが効果的です。逆に、メールマーケティングが有効なターゲットに対しては、パーソナライズされたメールキャンペーンを展開することで、高い反応率を得ることができます。
3. 効果的なコンテンツ作成
ペルソナを明確にすることで、コンテンツ作成の指針がはっきりし、効果的なコンテンツを生成することが容易になります。顧客の興味関心や直面する課題にフォーカスすることで、よりターゲットに響くコンテンツを作成できるのです。
たとえば、ペルソナが特定の課題解決に関心を持っている場合、その課題に対するソリューションやノウハウを提供するブログ記事やホワイトペーパーを作成することで、潜在顧客を惹きつけることができます。また、ペルソナに基づいたストーリーテリングは、ターゲットに対して親しみやすく、共感を得られるコンテンツの制作にも役立ちます。
「ペルソナ」の作り方
マーケティングにおいて、顧客視点の施策を打ち出すために有効的な「ペルソナ」設定ですが、より具体的に明確な自社の「ペルソナ」を作るためには、7つの手順を意識して作ると効果的です。
自社分析を行う
まずは「ペルソナ」という相手を設定するためには、「自分」つまり自社が提供する商品・サービスを改めて分析して再度知っておく必要があります。自社の事業内容、施策などを省みて、市場での立ち位置を知ることから始めましょう。
想定するペルソナの情報を集める
自社が集客したいペルソナにするためには、ペルソナの情報を集めることが重要です。情報の集め方としては、以下のような方法があります。
- ・インタビューやアンケートの実施
- ・既存データの活用
- ・Web解析データの活用
これらの方法を1つだけでなく、複数併用して多くの情報を集めることで、多角的に分析できるペルソナを設定することができます。
インタビューやアンケートの実施
既存の顧客売り上げ上位から選出して、インタビューやアンケートを実施しましょう。実施する人数が多いほど、正確な情報を得ることができます。しかし時間とコストがかかるため、質問内容はしっかりリストアップしておきます。
既存データの活用
既存データは、社内で保有する顧客情報や市場に出回っているデータなどを参考にします。会社内外の情報を組み合わせることで、売りたい顧客像を現実的なものに近づけることができます。
なお、統計データを公表しているサイトとして、統計局、e-stat政府統計の総合窓口などがあります。
Web解析データの活用
自社のオウンドメディアがあれば、アクセスログの解析でユーザー行動のデータを知ることができ、ニーズの高いペルソナに近づけることができます。他にも、Web解析ツールとしてGoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールが無料で使え、おすすめです。
ペルソナの設定
集めた情報を箇条書きにして、ペルソナの骨格部分を意識して作ります。骨格となる項目として、以下のようなものがあります。
- ・年齢、性別
- ・職業、年収
- ・趣味、特技
- ・居住地域
- ・インターネット利用時間
これらはあくまで基本的な項目であり、ペルソナをリアルにイメージできるように関連する項目を増やして、物語の登場人物を作るように情感豊かに作り込んでいきましょう。
ペルソナを確認する
ペルソナが完成したら、これまで集めたアンケートやインタビューで得た情報とズレが生じていないか検証します。現実からかけ離れたペルソナにならないように、実在する顧客を投影していくことが重要です。
ペルソナを設定するときの注意点
ペルソナの作り方の手順についてご紹介しましたが、ペルソナをマーケティングに有効活用していくためには、以下のような5つの注意点があります。
- 理想像で作らない
- ペルソナを固定しない
- ペルソナを作りすぎない
- 客観的なデータで設定する
- 現実に合わせたペルソナへの変更
これらをしっかり意識して作ることで、目的に合ったペルソナ作りに繋がります。
ペルソナ作成における課題と解決策
ペルソナ作成における課題と解決策を、次に紹介します。
1. データの不足
ペルソナ作成における主な課題の一つは、データの不足です。特に新しいビジネスや市場に参入したばかりの企業では、顧客の行動やニーズを反映するための十分なデータがないことが多く、このためにペルソナが不正確になるリスクがあります。
この場合、まず顧客インタビューやアンケート、ウェブ解析ツールを使って可能な限りのデータを収集することが重要です。ソーシャルメディアや業界のレポートなどからも有益な情報を得ることができるため、これらも積極的に活用する必要があります。最初は限られた情報でペルソナを仮説として作成し、その後集まるデータに基づいて更新を行うというアプローチが効果的です。
2. ペルソナが実際の顧客像と乖離している
もう一つの課題は、作成されたペルソナが実際の顧客像と乖離してしまうことです。これは、ペルソナ作成時に使用されたデータや市場調査が偏っている場合や、市場の変化に適応できていない場合に発生します。この問題を防ぐためには、ペルソナは一度作成して終わりではなく、定期的に見直しを行うことが重要です。
顧客からのフィードバックや、最新の市場データをもとにペルソナを修正し、常に実際の顧客像に近づけることが求められます。また、マーケティング部門だけでなく、営業やカスタマーサポートなど、顧客と直接接点を持つ複数の部門の意見を取り入れることで、より現実的で包括的なペルソナを構築することができます。
ペルソナマーケティングを活用している企業の成功事例
しっかりしたペルソナを作って、マーケティングに活用することができれば、企業の実績・ブランド力の成長に繋げていくことができます。ここでは、ペルソナマーケティングを活用した成功事例として、TBC・アサヒビール・カルビーの事例について紹介します。
【問い合わせ数30~40%アップ】ペルソナのライフスタイル からブランド認知の方法を考えたTBC
TBCは、MEN’S TBCをマーケティングするにあたって、ペルソナを「三軒茶屋」のワンルームに住んでいる都内のA学院に通う20歳男性と定義しました。
そこからTBCは、設定したペルソナのライフスタイルを逆算し、彼らが頻繁に利用するであろうコンビニを中心に、男性向けコスメティックの販売をして、「MEN’S TBC」もブランドの認知を高めていくことにしました。
その結果、ブランドとしての「MEN’S TBC」の認知度は高まり、エステサロンへの問い合わせが30〜40%アップすることができました。
【3カ月で6,000万本!】徹底した定性・定量調査から 生まれたペルソナによって成功したアサヒビール
アサヒビール発泡酒のマーケティングとして、定量的なデータと2000人の消費者インタビューからペルソナを作りました。設定したペルソナは、自営業で年収900万円の44歳の家族持ち。
このペルソナが欲しがる商品を商品を突き詰めて、発泡酒の冷たさを感じさせるパッケージと商品名「クールドラフト」を思いつくに至りました。その結果、クールドラフトは2009年3月発売開始から3ヶ月弱で、296万箱売れた大ヒット商品になりました。
【売れすぎて生産が追いつかない!】 スナック菓子の常識を打ち砕いたカルビー
2000年代にスナック菓子は、「20〜30代の女性」には人気が出ないと業界内で常識として捉えられていましたが、カルビーはその常識をペルソナを設定して「ジャガビー」を作り出して打ち砕きました。
カルビーは、27歳・文京区在住で独身の女性で、ヨガと水泳に凝っているというペルソナを設定しました。カルビーは、このペルソナが読むであろう「Oggi」で活躍していたモデルのヨシアをCMに起用し、パッケージを落ち着いた色合いにするなど、ペルソナのニーズを満たす形を取りました。
その結果、「ジャガビー」は生産が追いつかず販売中止になるほどの成功を収めています。
ペルソナマーケティングを学ぶ上でおすすめの書籍2選
ペルソナマーケティングを学ぶ上で、入門編としておすすめの2つの書籍をご紹介します。
出典:Amazon
顧客を「たった1人」に絞る重要性や価値が解説されていて、難しいマーケティング用語もあまり使用されておらず、入門編としておすすめです。
②ペルソナ作って、それからどうするの?ユーザー中心デザインで作るWebサイト
出典:Amazon
ページ数が多いため軽く読める一冊ではありませんが、密度が濃くより専門性を高めたい論理派の方におすすめの1冊です。
【テンプレート付】ペルソナ設定ガイドブックはこちら
初めてペルソナを作る場合は、自分でシートを作ることは難しいため、ペルソナ設定シート付きのガイドブックを活用することをおすすめします。リンクを添付していますので、ぜひ参考にしてください。
おすすめの【テンプレート付】ペルソナ設定ガイドブックはこちら
まとめ
ペルソナを設定することで、顧客像が掴めない時や別の視点で施策を考えたい時に活用することができます。ペルソナの作り方、注意点を意識することは大切ですが、まずは時間を確保してペルソナ作りを進めて、コツを掴んでいきましょう。